<大相撲九州場所>◇3日目◇11日◇福岡国際センター第63代横綱からしこ名を受け継いだ、モンゴル出身で本名バトツェツェゲ…

<大相撲九州場所>◇3日目◇11日◇福岡国際センター

第63代横綱からしこ名を受け継いだ、モンゴル出身で本名バトツェツェゲ・オチルサイハンの旭富士(23=伊勢ケ浜)が、注目のデビュー戦を白星で飾った。部屋で弟子の朝稽古を指導していたため、師匠の伊勢ケ浜親方(33=元横綱照ノ富士)は直接、取組を見ることはできなかったが、会場入り後に報道陣に対応。デビューまでに4年半を要したこれまでの労に、ねぎらいの言葉を掛けた。

まずは白星発進したことについて「よかったじゃないですか」と語った。大相撲の規定で、外国出身力士は1部屋1人まで。今年1月の初場所で自身が引退後、外国出身力士に必要な半年間の研修が始まり、秋場所前の新弟子検査を受検した。興行ビザの取得に1場所を要し、今場所、晴れて初土俵を踏んだ。神奈川・旭丘高卒業後に入門してから、4年半余りを振り返った師匠は「長く待って、辛抱してくれた。その間も欠かさず稽古していた」と、先の見えない日々を乗り越えた苦労を、本人に代わって話した。

旭富士は、高校時代の実績がほとんどなかった。それでも強くなる予感があったか問われると「もちろん」と即答。続けて「いい体をしていたし、稽古すればするほど、強くなるなと思っていた。今は(アマチュアで)タイトルを取ってから入るのが当たり前になっちゃっている。タイトルを取らなくても、ちゃんと相撲部屋で稽古を重ねていけば、強くなるというのを証明してくれたんじゃないですか。次に相撲部屋に入りたい子たちにとっても希望になるんじゃないかな」と、今後、旭富士が番付を駆け上がっていくことで、相撲界全体に、新たな未来が切り開かれると予想した。

同親方は、旭富士の強さの最大の理由について「フィジカルじゃない。体幹も強いし、腕も強いし、上半身も。まだ下半身が、もろいところはあるけど。伸びしろある」と語った。右四つ、左四つは「どっちでも取れる」と話し、得意の型の面でも、成長の余地の残しているようだ。全45部屋の中で、最多の関取6人を誇る伊勢ケ浜部屋からデビューした“史上最強の新弟子”の出世街道に、寄り添いながらも厳しく指導していく決意をにじませた。