2年ぶりにセ界を制した阪神の「優勝記念パレード」が10日、高知市で開催された。同市出身の藤川球児監督(45)、四国IL高…
2年ぶりにセ界を制した阪神の「優勝記念パレード」が10日、高知市で開催された。同市出身の藤川球児監督(45)、四国IL高知出身の石井大智投手(28)ら9選手が2階建てバスに乗車。沿道に集まった約1万3千人の観衆と喜びを分かち合った。パレード出発地点では藤川監督と石井に高知県から「プロスポーツ優秀賞」が授与された。あいさつに立った藤川監督は感激の涙で言葉に詰まる場面もあり、故郷凱旋(がいせん)でリーグ連覇と日本一への決意を新たにした。
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故郷で、藤川監督が泣いた。優勝記念パレードのスタート地点の高知大丸東館前。高知市出身の藤川監督と四国IL高知出身の石井に、浜田省司知事(62)からプロアスリートでは高知県初となる「プロスポーツ優秀賞」が贈られた。お礼のあいさつに立った指揮官は、リーグ優勝でも見せなかった姿を見せた。
「何から話そうかな…」。ユニホーム姿で下を向ノ数秒を間を置いた。でも言葉が出てこない…。石井にあいさつの順番を譲り、後ろに下がった指揮官の目は赤くなっていた。
「高知県っていうのは疲れた、自分の羽を休める、新しく復活させてくれるところなんです。疲れきった私をまた働かせて、行ってこい、と押してくれる。アーケードの中で遊んでた自分が、恩返しができるようになった。45歳でね。これはもう本当に感慨深いものがありましたね」
リーグ優勝を果たし、感動の故郷凱旋(がいせん)。幾多の困難にあうたび、励ましてくれた人々の顔が浮かんだのだろう。でもようやく、恩返しの報告ができた。特別うれしい一日。緩んだ涙腺は正直だった。
少年時代の遊び場だった帯屋町商店街を進んだパレード。ひろめ市場までの約500メートルに、約1万3000が集まった。大きな歓声を浴びるとバスの上から笑顔で手を振り、感謝を伝えた。
高知商から98年ドラフト1位で阪神に入団。雌伏の時を経て05年には火の玉ストレートを武器にリリーフとして開花し、メジャー挑戦、四国IL高知を経て古巣に復帰し、名球会にも入った。監督1年目の今季は9月7日に史上最速のリーグ制覇を達成した。「監督業に没頭していました。全く脇道それることなく座禅を組んでるような1年。すごく勉強になりました」。激動の1年を球児節で振り返った。
秋季キャンプ休日のこの日、ナインにも熱く呼びかけた。「パレードは(22日に)大阪でもあり、乗るメンバーも、自分はもっとやらなきゃいけなかったと、その感情が湧いてくるようなメンタリティーになれば、強くなっていく」。今季の優勝、個人成績に満足していては、連覇は遠のく。故郷でパワーをもらい誓いを新たにした。【伊東大介】