<全国高校バスケットボール選手権静岡県大会:浜松開誠館65-56沼津>◇9日◇女子決勝、男子決勝リーグ最終日◇県武道館女…
<全国高校バスケットボール選手権静岡県大会:浜松開誠館65-56沼津>◇9日◇女子決勝、男子決勝リーグ最終日◇県武道館
女子は浜松開誠館が沼津を65-56で退け、10年連続10度目の優勝を飾った。前川桃花主将(3年)が、けが人続出のチームをけん引。11度目の全国へと導いた。男子は藤枝明誠が浜松開誠館に104-64で快勝。決勝リーグ3戦全勝で4年連続10度目の頂点に立った。女子の浜松開誠館、男子の藤枝明誠と2位浜松学院興誠が、12月23日から東京体育館ほかで開催される全国大会に出場する。
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安堵(あんど)感が全身を包んだ。10連覇を告げるブザーが鳴り響くと、浜松開誠館のPG前川主将は静かに喜びをかみしめた。今季は、新人戦決勝リーグの敗戦で県内の連勝記録が165でストップ。それだけに「先輩たちに申し訳ない気持ちがあって、この10連覇は絶対に逃してはいけないという重圧があった。すごく安心した」と実感を込め、胸をなで下ろした。
司令塔として、巧みにタクトを振った。第2クオーター(Q)で逆転に成功し、10点リードで迎えた第4Qだった。2度の連続得点を許し、点差は一時6点に縮まった。会場の雰囲気も変わり始める中、冷静だった。「そのままいったら危ないゲームになる。落ち着いて試合を運ぶ」。残り4分の場面で自ら3点シュートを沈め、相手の反撃ムードを断つ。その後も着実に時計の針を進め、最後は危なげなく逃げ切った。
大会前、チームでは故障者が続出した。この日スタメン出場した垣内優希奈(2年)も肩に脱臼を抱え、舟久保汐(1年)も前日8日の準決勝で口を負傷。強行出場したが、万全の状態ではなかった。この窮地にチーム最多タイの16得点でけん引。三島正敬監督も「準備ができなかった中で、勝因は前川がしっかりしていたこと。頼れるキャプテンに下級生も必死についていった。1人で背負って大変だったと思う」とたたえ、目を細めた。
苦しみながらも県女王の座を守り、全国大会の出場権をつかんだ。本番は約1カ月半後。前川は「1番は勝ちたい。ただ、勝っても負けても笑って終われるように、1戦1戦全力でプレーしたいと思う。ベスト4が目標です」と集大成の大舞台を見据え、決意を新たにした。【前田和哉】