<ノルディックスキー・ジャンプ:全日本選手権>◇9日◇札幌市宮の森ジャンプ競技場(ヒルサイズ=HS100メートル)伊藤有…
<ノルディックスキー・ジャンプ:全日本選手権>◇9日◇札幌市宮の森ジャンプ競技場(ヒルサイズ=HS100メートル)
伊藤有希(31=土屋ホーム)が合計246・0点で3連覇を達成した。1回目に最長不倒の99メートルを飛んでトップに立ち、2回目91・5メートルで勝った。7月2日サマージャンプ朝日大会以来、参戦した国内大会9戦ぶりの優勝。「安心した。夏やってきたことが最後の最後でかみ合ってくれた」とホッとした表情を浮かべた。
日本女子現役最年長ジャンパーが夏場苦戦した。8月3日大成建設チャンレジ杯大倉山サマージャンプ大会で8位に入るなど、表彰台に立てない試合もあった。「不安でしたね。冬にピークを合わせるために、夏は調子を意図的に落とさなければいけない時期もあったりして、それに耐え抜けるかっていうのが一番の問題で」と振り返る。冬に向けた体づくりは順調に取り組めていたが、アスリート。勝負事に敗れると悔しさが募った。
若手が台頭した証しでもあり、喜びもあった。長年、高梨沙羅とともに日本ジャンプ界をけん引してきた。「誰が勝つか分からないような試合ができたり、海外のような試合ができることで、自分が飛べていないので、そんなのんきなことも言ってられないけど、それがすごくうれしくて」。日本チームの成長を歓迎する。
4大会連続五輪出場へ、気は抜けない。「ここまで夏の調子が落ちたことがないので、それが冬どう出るのか。その分上がりが大きくなってきてくれたらすごいうれしい」と、不振を脱した先に待つ好飛躍に期待する。試行錯誤していた助走姿勢は、冬仕様の助走路だったこの日の試合で、手応えを得た。いよいよ26年ミラノ・コルティナ五輪シーズンが本格化する。「夏やってきたことが実るように、それを楽しみに雪の上に行きたい」と成果を発揮する。【保坂果那】