ソフトバンク東浜巨投手(35)が9日、国内フリーエージェント(FA)権を行使することを表明した。正午過ぎにみずほペイペイ…

ソフトバンク東浜巨投手(35)が9日、国内フリーエージェント(FA)権を行使することを表明した。正午過ぎにみずほペイペイドーム内の球団事務所を訪れ、申請書類を提出。今季で3年契約が満了し、同FA権は23年に取得済みだった。熟考を重ね、出場機会を求めての決断。宣言残留も選択肢だが、獲得に興味を示す全球団と話し合いを持つ意向を示した。プロ通算76勝を挙げ、実績十分なベテラン右腕が野球人生で大きな勝負に出た。

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東浜は濃紺のジャケットに身を包み、報道陣の前に立った。申請書類を球団に提出し、国内FA権の行使を表明。熟考を重ね、宣言へと踏み切った胸中を打ち明けた。

「ほんとうに、ぎりぎりまで悩んだんですけど…。一番は出場機会ってところで。まだまだ第一線で投げたい気持ちが強いので」

ホークス一筋13年。12年に亜大からドラフト1位で入団した。ここまでNPB通算76勝を挙げ、福岡でキャリアを積み上げてきた。「(球団には)感謝しかないですし、ファンの背中を押してくれる声援も忘れられない」。愛着、感謝もある。それでも「まだまだ1軍の舞台で先発をやっていきたい」という思いが上回ったのも事実だ。家族にも相談した上で、最終的には自らの意思を貫いた。表情からも、決断に迷いはない。

手応え、自信もある。「肩、肘、体、どこも元気ですし。まだまだできると思っていますし、まだまだうまくなる余地はある」ときっぱり。3年契約最終年となった今季は、有原、モイネロ、大関、上沢の10勝カルテットらに押し出される形で1軍登板は7試合に終わった。2軍では7勝(3敗)、防御率1・85をマーク。衰えを感じさせない投球を披露したが、1軍での先発機会に恵まれなかった。

ポストシーズンは中継ぎでベンチ入りも、出番はCSファイナルの1試合のみ。「他球団であっても競争に勝ち抜かないとポジションはない。争いに立たせてもらえるところがあれば、他球団の話しを聞いてみたいのが率直な気持ち」。獲得に興味を寄せてくれるなら全球団OKの構えだ。一方で球団は来季の契約を用意し、宣言残留も認めている。

腹をくくっている。今季推定年俸は1億5000万円で、獲得には金銭か人的補償を伴うBランクとみられる。「僕のランクとかも含め、全部理解した上で行使をさせていただいている。そこは強い覚悟を持って挑んでいます」。来季がプロ14年目。ベテラン右腕の去就に注目が高まる。【佐藤究】

◆東浜巨(ひがしはま・なお)1990年(平2)6月20日生まれ、沖縄県出身。沖縄尚学で08年センバツV。亜大では通算35勝。12年ドラフト1位でソフトバンクに入団。17年に16勝を挙げ最多勝。22年5月11日の西武戦ではノーヒットノーランを達成した。通算76勝46敗、防御率3・30。183センチ、84キロ。右投げ右打ち。