大相撲九州場所の番付発表後に現役引退を決め、年寄「北陣」を襲名した元小結遠藤の北陣親方(35=本名・遠藤聖大)が9日、…

 大相撲九州場所の番付発表後に現役引退を決め、年寄「北陣」を襲名した元小結遠藤の北陣親方(35=本名・遠藤聖大)が9日、福岡市内のホテルで会見を行った。

 北陣親方はファン、支援者、関係者への感謝とともに「まだ実感はありませんが、これから感じていくのかな。師匠からは『良く頑張った。お疲れ様』と言ってもらった」と語った。

 巧みな技能とセンスで土俵を沸かせ、ざんばら髪のまま幕内にスピード昇進。端正な顔立ちでCMに起用されるなど注目を集め、当時は不祥事等で低迷していた大相撲人気の回復に貢献した。

 北陣親方は「当時は大学から入門したばかりでガラリと環境が変わった戸惑いもあった。ただそれ以上に幸せな相撲人生でした」と感謝を口にした。

 両膝の故障を抱えながら土俵を務めた。「精神的にもケガのおかげで鍛えられた。ケガのおかげで気付くことも多かった。良くも悪くもケガがあったから成長できました」と受け止めた。今年夏場所は東前頭11枚目で9勝6敗と勝ち越したのを最後に、両膝を順に手術を受け2場所連続で休場。12年守った関取から幕下へ番付を下げた今場所前に引退を決断した。「いっぱいいっぱいやった中での手術という決断。もう一度戻る、良くなるんだ、と思ったが、早期には厳しいかなと思い、気持ちが移り変わっていった」と振り返った。

 家族に対しては「いつも一緒に決めてきました。家族は『いいね』と言っていました」と語り、「子どもと走り回りたいですね。走ることも本場所で勝つためにしないできた。制限なくやれる。今より一緒にいられる時間が増える」と語った。膝への負担をかけないよう、私生活でも気を使ったのだろう。

 思い出の一番は、現役最後の相撲となった夏場所千秋楽、朝紅龍を寄り切った白星。「その前の場所から毎日きょうが最後だと思っていました。千秋楽で、これがもしかしたら最後になるのかもと思い土俵に上がっていました」と語った。

 12年半の土俵人生。「たくさんの方に応援をいただき、本当に幸せな相撲人生でした」と話した。

 北陣親方は日大でアマチュア横綱に輝き、13年春場所で幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んだ。関取となった同年名古屋場所は14勝1敗で新十両優勝を果たし、翌秋場所では史上最速となる所要3場所での新入幕を果たした。三賞6回、金星7つ。幕内成績480勝482敗73休。生涯75場所で幕内69場所、十両4場所、幕下2場所。