<北海道・東北交流試合>◇8日◇第1日◇宮城・石巻市民球場北海道から白樺学園と旭川実、東北地区から仙台育英と聖光学院が参…

<北海道・東北交流試合>◇8日◇第1日◇宮城・石巻市民球場

北海道から白樺学園と旭川実、東北地区から仙台育英と聖光学院が参加し、来春センバツから導入される指名打者(DH)制のもとで試合を行った。22年夏の甲子園で仙台育英を悲願の初優勝へ導いた須江航監督(42)や、春夏甲子園通算31勝を挙げる名将、聖光学院の斎藤智也監督(62)が感触や見解を語った。交流試合は今回で2回目。試合間には未就学児から小学校低学年を対象にした野球体験会も行われた。

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須江監督は「選手の活躍機会が増えることは間違いない」と話した。普段は“代打の切り札″杉山育夢(2年)が「5番DH」でスタメン出場。三塁打含む2安打2打点と勝利に貢献した。指揮官は「できるなら3、4打席立たせたい選手だと思っていました。『DHがあればいいな』と思っているところでルール変更があったので、彼の良さがどんどん生きてくるんじゃないかなと思います」と話した。

投手起用にも変化。この日は8投手が登板。ベンチ入り20人のうち、投手陣が半分近くを占めた。「ピッチャーのところで代打を出さなくていいので」とあえての選択。試合展開による投手への代打を前提にすることもなくなり、狙い通りの起用ができる。「シンプルにディフェンスのことだけを考えてピッチャーを運用すればいいので、采配もとても楽というか、明確になりました」と話した。

聖光学院は、すでに練習試合からDH制を使用。「バッティングにプライドを持っている子も多いので、うちはDHという制度を採用していくのではないかな」と斎藤監督。この日は先崎響(2年)を「9番DH」でスタメン起用。ミート力にたけている先崎をあえて下位に置いた。「どちらかというと役者タイプでうまいんですよ。2死三塁とか、そういう場面で1本パチンと、いぶし銀のヒットを打ってくれればいいなと」と狙いを話した。

起用方法は無限大。「守れないけどホームランを打てる」だけではない。斎藤監督は「人よりバントがうまくて、足が速いとか。ゴロを転がして内野安打が取れるとか、そういう選手がいてもDHとしての利用価値があると思うので、長打力だけではない」と口にした。

高校野球に吹く新たな風。チームの色がさらに鮮明になる。【木村有優】 

▽松本嘉次・宮城県高野連理事長の話 (来春からのDH制導入にあたり)この試合で試しに導入する運びになりました。運営陣も円滑な運営のために、DH解除などの練習をしなくてはいけないので、良い機会になりました。

○…次は甲子園で-。仙台育英・古川諒弥投手は、かつての戦友、旭川実・高本浬内野手(ともに1年)との再会を心待ちにしていた。「(交流会の)参加校を見て会えるなと」。2人は小2から日本ハムアカデミーで一緒。ファイターズジュニアでも、ともにプレーしていた。3回2死一、二塁のピンチで古川が救援登板すると、打席には高本。左飛に打ち取った。高本は「打てなくて悔しかったので、次こそは」とリベンジを誓った。

古川も満足はしない。「(高本は)ボールへの対応や雰囲気も変わっていました」と成長を実感。負けてはいられない。「次は甲子園で対戦したいです」。再戦を心待ちにし、遠く離れた地で切磋琢磨(せっさたくま)し合う。