<明治安田J1:鹿島2-1横浜FC>◇第36節◇8日◇メルスタ名門鹿島アントラーズが9季ぶりのリーグ制覇へ前進した。ホー…
<明治安田J1:鹿島2-1横浜FC>◇第36節◇8日◇メルスタ
名門鹿島アントラーズが9季ぶりのリーグ制覇へ前進した。ホームで横浜FC戦に2-1で競り勝ち、4試合ぶり白星。今季就任した鬼木達監督(51)と古巣川崎フロンターレ時代に共闘したMF知念慶(30)がチーム2点目を奪って勝利を呼び込んだ。FWからボランチにコンバートして2季目は思うような出場機会に恵まれなかったが、最終盤の重要局面で存在感を増す。残り2節。勝ち点差1の2位柏レイソルも名古屋グランパスを破ったため、次節以降に優勝争いが持ち越された。
◇ ◇ ◇
異色のキャリアを歩む男が、新たな環境で恩師と再タッグを組んでリーグ優勝に近づいた。1-0の後半20分、ボランチで先発した知念がヘディングでゴール。「本当に質の高いボールが来て、うまく合わせられました」。前半は相手の圧にやや苦しんだが、後半は前向きなプレーが増えて攻撃に活力を与えた。
もともとはストライカーだった。17年に鬼木監督が指揮を執る川崎FにFWとして入団すると、23年に加入した鹿島で昨季からボランチに転身。球際の強さを武器に「つぶし屋」として活躍し、J1ベストイレブンまで上りつめた。
今季から鬼木監督が鹿島の指揮を執ることとなり、3季ぶりに再会。知念は「全然楽しみじゃなかった。もう嫌でした」と苦笑いで振り返る。それは恩師が求めるボランチ像と自身がかけ離れていることを理解してたからだった。つなぐサッカーを志向する中で、指揮官は前線への供給役や試合をコントロールするタイプを好む。今季の先発回数が11試合にとどまるように、知念は苦しんだ。
「苦労した時期もありましたけど、結果的にオニさんは成長を促す人なので、自分自身もやりながらちょっとずつ成長できている部分もあるのかな。まだまだだと思いますけど」
夏場にはマンツーマンで助言を受けた。「もっとこうしてほしいという風に結構言われたり、お前は能力高いんだからもっと自信持ってやれと言われた」。
現状に満足することなく取り組み、シーズン佳境で不可欠な戦力に。鬼木監督からも「もう一皮むけてやろうというチャレンジ意識があった。迫力のあるボランチになってきた。彼にしかできないものをどんどんつきつめてほしい」と賛辞を贈られた。
残り2節。自分たちが勝てば、9年ぶりのリーグタイトルが手に入る状況だ。「しっかり2試合勝つことを目標にやっていきたい」と誓った。【佐藤成】