ヤクルト・池山隆寛新監督(59)がデイリースポーツのインタビューに応じ今季、最下位に低迷したツバメ軍団の再建を託された…
ヤクルト・池山隆寛新監督(59)がデイリースポーツのインタビューに応じ今季、最下位に低迷したツバメ軍団の再建を託された心境や決意を明かした。リーグ制覇を果たした今季の阪神も参考にしたチーム作りに着手する意向を示し、“ポスト村上”問題や恩師の野村克也さんから受けた教えなどについても大いに語った。
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-10月9日に1軍監督就任が発表された。
「たくさんのお祝いLINEも、約300件でした」
-02年10月17日の引退セレモニーでファンに戻ってくると約束した。
「随分、時間がかかりましたけど。ようやく1軍の監督として戻ってこられた。感極まりました。チームを元気に前を向かすのが自分の役目」
-就任当初から笑顔と元気がテーマ。
「そういう気持ちを、しっかり前面に出しながらユニホームを着ることが一番。まずチームをまとめるのに一番(大切)かなと思う」
-対話重視の方針。
「自分は6年間2軍監督を経験した。(当初は)コーチに『なぜできないんだ』という言い方もしていた。(その後は)うまくいかない時も対話しながら、うまくいくようにした」
-現役時代から多くの同僚も受け入れ、懐が広いという声もある。
「自分は損得を考えていないというか。見返りも考えない。それが、池山だと思ってもらえれば、いいんじゃないですか(笑)」
-選手との接し方で大切にしていること。
「ユニホーム着ている時は接しますけど、普段は接しないようにしています。プライベートでも(接していると)怒る時に怒れなくなる。線引きはしています」
-野村克也さんには現役やコーチ時代に教わった。
「『野球は奥深い』ということを、ずっとおっしゃっていた。どうやったら勝てる、どうやったら負ける。不思議な勝ちはあっても負けはないと。理想と現実があって準備をしてもうまくいかないことは多いんですけど。できることは準備しましょう、用意しましょうと。まず自分たちがどういう戦いができるんだと知っておかないと相手と戦えないということ」
-野村氏の考えをどう生かしていくか。
「マネはできないと思う。いろんな人の考えや監督像や自分の経験の中で授かっていくもの。いいところ取りが、できているかは分からないですけど、いろんな方向や角度から勉強していかないといけない」
-目指す野球は。
「誰がどこを守り何番を打つかは、まだ(バッテリー以外の)ダイヤモンド(の7人)も決まってません。野手経験者だったので理想は打ち勝つ。打つだけが大事というわけでもない」
-村上が今オフ、ポスティングシステムでメジャーに移籍する。
「現状は相当、大きな穴です。どうやって埋めるか。打ち勝つ野球はできないと思っている。守って最少失点に抑えて、最少得点で勝つ野球になってくる。守りが非常に大事になってくる」
-今季、主に外野を守った捕手登録の内山を内野にコンバート。
「内山がショートに入ったら、そこで競争が生まれる。ドラフト1位・松下(法大)も三塁と二塁を守れる。彼をどこで使っていくかも課題」
-4番候補は。
「4番が日本人になればチームは長く機能するという教えもある。打てなかったら助っ人の力を借りないといけない。村上の4番が抜ける。チームは再スタート、再建ですから」
-課題は。
「全部です。投手で言えば先発と中継ぎ、抑え。(先発の)柱を誰にというのが課題。エースと4番がいない。柱なくして家建たずですから。チームとして機能していない以上は、どう戦うかが課題」
-今季、優勝した阪神をどう見ていたか。
「投手陣とクリーンアップがしっかりしていたという印象。才木選手も手術、育成からの復活ですので、ああいう柱は非常に大きい。脇役は近本選手、中野選手がそろっている。主役は4番の佐藤輝選手。助っ人に頼らず、というところは素晴らしい。しっかりした選手像は参考になる。チーム作り、考え、選手がどう動くかということも。今は近づけるように頑張るしかない」
-来季に向けて。
「5球団が上にいる。みんなに胸を借りながら戦わないといけない。80勝以上しないと優勝できないと思っている。まだパズルの優勝の文字のパーツも並べていない状態。一枚一枚どこに、はめていくかが私のこれからの課題だと思います」
◆池山 隆寛(いけやま・たかひろ)1965年12月17日生まれ、59歳。兵庫県出身。現役時代は右投げ右打ちの内野手。市尼崎から1983年度ドラフト2位でヤクルト入団。強打の遊撃手としてヤクルトをけん引し、黄金時代の中軸打者として君臨した。2002年限りで引退。通算1784試合、1521安打、304本塁打、898打点、打率・262。引退後は楽天コーチ、ヤクルト2軍監督などを歴任。