浜松市出身で21年に日本男子初のボクシング世界選手権金メダリストとなったWBO世界バンタム級14位の坪井智也(29=帝拳…
浜松市出身で21年に日本男子初のボクシング世界選手権金メダリストとなったWBO世界バンタム級14位の坪井智也(29=帝拳、浜松工出)が25年最終戦で「世界前哨戦」に臨む。11月24日、トヨタアリーナ東京で元WBC世界スーパーフライ級王者で現WBC同級1位のカルロス・クアドラス(37=メキシコ)とプロ転向3戦目(同級10回戦)が決定。勝てば世界ランク最上位入り、日本男子最速の世界王座獲得記録(5戦目)の更新も狙えるだけに、重要な一戦となる。
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ビッグネームとの重要な一戦だ。坪井はWBC世界スーパーフライ級王座6度防衛を誇るクアドラスとの対戦を歓迎し「すごくやりがいがわきました。名前のある選手。僕は世界王者になりたいというより強い相手と戦いたいと思う気持ちが強い。本当にありがたい相手」と胸を躍らせた。そして、こう続けた。
「徹底的に支配できたら最高、完封したい」
プロ2戦目となった今年6月のパン・タオ・トラン(ベトナム)戦で大差判定勝利したものの、KOしきれなかったことを悔やんだ。「フィニッシュ」をテーマに掲げ、1発の破壊力を上げるメニューを続けた。しかし次戦の相手は技術、経験、実績とすべて兼ね備える元V6王者。「強い相手であればあるほど完封したら格好いい。(9月の)井上-アフマダリエフ戦のような、あれこそボクシングだと思う。打って打たせないことをやりたい」とプランを明かした。
現在、WBC1位のクアドラスに勝てば限りなく最上位に近いランキングに入る。来年は待望の世界挑戦のチャンスも到来しそうだ。日本男子最速の世界王座獲得記録は田中恒成の保持するプロ5戦目。その記録更新の好機も見える。「まず次戦をクリアして。来年3月に30歳。そこあたりで世界取れたら最高ですね。(本田明彦会長が)用意してくださった試合に勝つだけ」と気持ちを引き締めた。
クアドラス対策としてプロ5勝(4KO)のホープで東洋太平洋バンタム級8位の伊藤千飛(20=真正)を練習パートナーに実戦練習を続ける。坪井は「昔から見ていたクアドラス選手なので目を閉じれば大体、こういう動きをすると分かっている。相手が強ければ強いほど能力的部分を引き上げられる。僕だけの良い試合にしたい」と強調。世界挑戦を大きくアピールする25年最終戦になりそうだ。【藤中栄二】
◆坪井智也(つぼい・ともや)1996年(平8)3月25日、静岡・浜松市生まれ。小学1年から6年間、空手を学ぶ。同小6年時に同市リードジムで競技を開始。浜松工から日大に進学し、全日本選手権ではライトフライ級4連覇。21年世界選手権バンタム級で金メダルを獲得し、ウエルター級金メダルの岡沢セオンとともに日本人初の「世界金」を達成。24年末まで自衛隊に所属。今年1月にプロ転向表明。3月、2回TKO勝ちでプロデビュー。アマ戦績は106勝(10KO・RSC)25敗。身長160センチの右ボクサーファイター。