「オールタイガース」で阪神史上初のセ・リーグ連覇を目指す。阪神が6日、和田豊氏(63)のヘッドコーチ就任を発表。和田氏は…

「オールタイガース」で阪神史上初のセ・リーグ連覇を目指す。阪神が6日、和田豊氏(63)のヘッドコーチ就任を発表。和田氏は12~15年に阪神の1軍監督も務めており、退任後に同一球団のヘッドコーチに就任するのは球界でも異例だ。今季の同職は空位で、藤本敦士総合コーチ(48)を置き、各ポジションのチーフコーチ制を敷いていた。来季はそこに和田ヘッドが加わる盤石体制で、藤川球児監督(45)の就任2年目を後押しする。

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異例の秘策で球団初のリーグ連覇を後押しする。6日、西宮市内の球団施設でヘッドコーチ就任会見に臨んだ和田氏は決意を語った。「全員で束になって戦う気持ちを1つにして。藤川監督としっかりと連携を取りながら、前を向いて挑んでいきたい」。言葉に力が込められた。

12~15年に阪神の1軍監督を経験。フロント入り後、23年からは2軍監督にも就き、今季は1、2軍打撃巡回コーディネーターとして支えた。藤川監督から「連覇のために力を貸してください」と4日に電話があった。すぐにヘッド就任を決心したが、異例の展開に「正直なところ驚いています。それが率直な感情です」と本人も驚きだった。

球団初の連覇へ不可欠な存在だとの判断だった。和田氏はチーフコーチ制の今季もコーチ会議に入り共闘。藤川監督は「すべて自分がお願いした。1年間ずっと支えてくれて、選手を支えながら、首脳陣も見ながらいてくれた。今しかないと思った」と明かした。そして、「オールタイガースで90年間、1度もできなかった連覇(2リーグ制後)。突き破るには全精力をかけて勝ちにいく。(2年目は)案外、簡単なようで迷いやすい」と元指揮官の力を借りることを決めた。

1軍監督を経験していることは大きなメリットとなる。和田氏は「いいことだけではなく、反省点も今でも鮮明に覚えています」と監督時代を振り返る。その上で「監督は決断の連続で、迷うこともあると思います。その都度背中を押したい。藤川監督が求める1歩先を行けるヘッドコーチになりたい」と思い描いた。

7日には秋季キャンプ地の高知に合流して藤川監督と直接話す予定。指揮官同様に「右のリリーフ」「若手野手の台頭」を課題点に挙げ、「藤川監督と一緒になってしっかりと鍛えていきたい」と目の色を変えた。和田ヘッドが豊かな経験で、そばから支える。【林亮佑】

○…阪神竹内球団本部副本部長が兵庫・西宮市内で和田ヘッド誕生のいきさつを語った。「監督から連覇というところの相談を受け、経験値がたくさんあってチームを大所高所から見ていただける」。今年は藤本総合コーチが補佐役を担い、優勝。さらに連覇という目標に向かって組織のいっそうの充実を藤川監督が求め、チームを熟知する人材が身内にいたことが決め手になった。

◆監督経験者のヘッドコーチ 最近では伊東勤が04~07年に西武、13~17年にロッテを指揮し、19~21年に中日ヘッド、森脇浩司が13~15年オリックス監督、22年ロッテでヘッド、平石洋介が19年楽天監督、23、24年に西武ヘッドを担当したケースがある。監督を務めた球団に復帰したのは、広島の三村敏之(94~98年監督→04、05年ヘッド)や、阪神では金田正泰(60、61年監督→72年ヘッド)がいる。