プロボクシングWBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が“レジェンド”を倒して“レジェンド”を迎え撃つ。12…
プロボクシングWBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が“レジェンド”を倒して“レジェンド”を迎え撃つ。
12月17日に東京・両国国技館で元5階級制覇王者で同暫定王者のノニト・ドネア(42=フィリピン)と団体内統一戦に臨むことが6日、都内で発表された。
紆余(うよ)曲折を経て実現が決まった。堤は2月に比嘉大吾と引き分けて初防衛に成功した後、左目を手術して休養王者となっていた。当初、復帰戦は正規王者に昇格したアントニオ・バルガス(29=米国)との統一戦が予定されていたが、母親を病気で亡くしたバルガスが辞退。正規王者に昇格した堤の相手が、暫定王者ドネアに代わった。
「聞いたのは2カ月くらい前。バルガスからドネアに代わって動揺した。バルガスとタイプも体格も違う。ネームバリューもある。自分が本当にドネアとやるの? という浮足立つような感じ。学生時代からみんな知っている選手。当時の僕に伝えたいくらい」と、世界のレジェンドとの対戦が決まり、堤は珍しく興奮気味に語った。
試合当日に43歳になっているドネアに“フラッシュ”と形容された往年のスピードはない。体力的な衰えを指摘する声もあるが「映像を見たけど“ドネアはドネア”だという印象を持った。(強打の)左フックもそうだし、細かい部分でのカウンター、ボディーとの打ち分け、効かされた時の対処とかやっぱり強い。身体能力は衰えてもパンチ力は衰えていない。怖いです」と堤は5階級制覇王者の底力を警戒した。
王座を奪取した昨年10月の井上拓真戦を含めて世界戦はこれが3戦目。「立場としては絶対に勝たないといけない。これからもっと強くなりたいし、活躍したい。だから負けることは許されない。やっかいな相手だけど、クリアすればもっと面白い人生が待っている。こっちも死に物狂いですよ」(堤)。
ドネアに勝てば、11月24日にWBC同級王座決定戦で対戦する那須川天心(帝拳)-井上拓真(大橋)の勝者との統一戦。さらに日本人初の5階級制覇を目指してバンタム級に上げてきた日本のレジェンド井岡一翔(志成)との対戦などドリームマッチへの道が開ける。「統一戦もしたいし、スーパーフライ級から上げてくるレジェンドの挑戦も受けたい。(井岡は)最近スパーリングもさせてもらった。人間としてもかっこいいし、あこがれる。戦えると思うとワクワクする」。レジェンドを倒し、堤は胸を張って井岡の対戦相手に名乗りを上げる。【首藤正徳】