「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」で、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)は11月8日、予選Bグループのダニール・メドべデフ(ロシア)との試合で勝利し、準決勝進出権の獲得へ大きく前進した。カウントは4-3(5)、2-4、4-1、4…

「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」で、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)は11月8日、予選Bグループのダニール・メドべデフ(ロシア)との試合で勝利し、準決勝進出権の獲得へ大きく前進した。カウントは4-3(5)、2-4、4-1、4-2で、試合時間は1時間31分だった。

4人ずつの2グループに分かれて行われる「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の予選Bグループには、チョリッチとメドべデフのほかに、ジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)とカレン・カチャノフ(ロシア)が入っており、その一環の試合だった。

チョリッチは初戦でドナルドソンに勝利した一方で、メドべデフはカチャノフに勝利。その直後に迎えた、両選手にとって2戦目で、勝てば決勝トーナメントへの進出が俄然、現実味を帯びてくる対戦だった。

ATPのサイトによれば、今回特に目立ったのは、チョリッチの高い身体能力で、メドべデフにはとにかく手に負えなかったという。

特に、デュースコートで、メドべデフのサーブにリズムが合い始めて、いったんラリーが長くなりだすと、チョリッチが有利に展開した。最後の2セットでは、全ポイントの61%を取得し、4つのブレークポイントすべてを退ける高いパフォーマンスを見せた。

チョリッチ自身も「本当にフィジカルがものを言う試合だったと思います。最初の2セットが特にとても厳しかったです」と試合を振り返った。

■ハラハラ感を楽しめるのも新ルールの魅力?

ただ、今回のチョリッチとメドべデフの対戦には、「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」特有の展開も見られた。新ルールの影響だ。

セットカウント2-1の、ゲームカウント3-2で迎えた第6ゲームの中で、40/15の場面でチョリッチがマッチポイントを迎えており、メドベデフに巻き返しのチャンスはもうほとんどなさそうだった。

しかし、メドベデフがそこから2点を連取して、デュースまで追い上げた時点ではノーアドバンテージのスコア方式のおかげで、まだ、どちらに転んでもおかしくなかった。

より詳細には、確かにチョリッチのマッチポイントではあったものの、メドベデフがそのポイントをとれば、タイブレーク、そしてそこから第5セットに持ち込むことができるかもしれなかったからで、従来のルールに比べてデュースに持ち込めばブレークしやすい方式の特徴が現れたポイントだっただろう。

ただ、結局は、チョリッチがデュースからの1ポイントを取得し、寄り切って勝利を手にすることになったが、試合の行方がなかなかはっきりせず、視聴者をハラハラさせて楽しませられる点は新ルールの魅力の一つかもしれない。

■グループBからの決勝トーナメント進出選手はまだ予断を許さない

予選グループBでは、チョリッチの2勝0敗と準決勝進出の公算は高く、1勝1敗で追いかけるカチャノフかメドベデフが残りの1枠を争う格好だが、不透明感も残る。

次戦として、チョリッチとカチャノフ、メドベデフとドナルドソンの対戦が予定されているが、チョリッチが負けてメドベデフが勝てば、勝敗では3選手が横一線に並ぶからだ。

その場合はセット・ゲームの獲得数などで、決勝トーナメントへの出場選手が決まることになっており、グループBの勝者についてはまだ予断を許さない状況だ。(テニスデイリー編集部)

※ボルナ・チョリッチはグループBで一人2勝と単独首位に立ち、決勝トーナメント進出へ向けて大きく前進した

(Photo by Emilio Andreoli/Getty Images)