イタリア・ミラノで開催中の「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」では、新しく全面電子ライン判定と特別ルールを取り入れているが、それについて各選手のコメントをATPが伝えている。「本当に気に入ったよ」とダニール・メドべデフ(ロシア)…

イタリア・ミラノで開催中の「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」では、新しく全面電子ライン判定と特別ルールを取り入れているが、それについて各選手のコメントをATPが伝えている。

「本当に気に入ったよ」とダニール・メドべデフ(ロシア)はこのシステムついて語った。

「私にとってはとても楽しいものだった。新しくて新鮮でした。とくにシーズンの終盤で、疲れている時には、これらのルールでプレイするのは本当にクールだと思ったよ」

カレン・カチャノフ(ロシア)も好意的な意見を寄せている。

「僕が思うに、審判が全員自分の声を録音した方がいいと思うんだ。そうすれば同じ声が聞けるし、その審判がアウトを告げているように聞こえるしね。でもこれは本当にいいものだと思うよ」

今回の試合では、コーチとプレイヤーがテレビ電話でリアルタイムに相談できるが、この試合中のコーチングについても好意的な意見が上がっている。第1試合ではジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)以外の選手はコーチングのシステムを活用している。

カチャノフはメドべデフとの試合で1-2と遅れをとった後アドバイスを求め、彼のコーチであるガーロ・ビアンコは、前向きにコミュニケーションを取りながら、タブレット上の統計に言及した。

「カレンの第3セット目の違いは16のアンフォースド・エラーを犯したように見えることだ。第1セットと第2セットの間では10だった。それが重要なポイントだった」

「ポイントをコントロールしているときに、カレンは焦った感じで違うショットを選択し、ミスをしている。攻撃的にショットしにいくところと、受け身でプレーしないことのバランスを見つけるようにするんだ」とアドバイスしたようだ。

チョン・ヒョン(韓国)に敗れたデニス・シャポバロフ(カナダ)も統計を試合の合間にコーチと話していた。

「これは確実に素晴らしいシステムだ。私はいつも『なぜ試合中に統計を見ることができないんだ』と思っていたんだ」

「サーブの確率、アンフォースド・エラー、ウイナー、そんなも基本的なことでも見られるのはいいことだ」とシャポバロフは語った。

この統計を見られるシステムはメドべデフがカチャノフに対しての勝利に影響を与えている。彼はホークアイのデータを確認したあと、自分のポジションを変えたと語った。

「第4セットの前に頭の中では『あぁ少し変えないとだな』って思ったんだ。それがうまくいくかは分からなかったけど、勝てたし、おそらくその判断は正しかったんだろうね」

ショットクロックはほとんど問題無かったようだ。アンドレイ・ルブレフ (ロシア)と対戦したジャンルイジ・クインツィ(イタリア)はタイム・バイオレーションと宣告されたが、試合開始時であったために大きな混乱は無かった。

しかし、ショットクロックが短くなったことは選手たちに少なからず気持ちの面で影響していたようだ。

ボルナ・チョリッチ(クロアチア)はタイムバイオレーションを受けることが心配だったためにサービスラインへ急いで向かっており、いつもより疲れているようだった。

「注意を受けたくなかったんだ。そういうプレッシャーも苦手だし。ただ、これはある意味良いルールだと思うよ。試合のスピードを上げられるしね。ただ、15秒とかでなく、7秒とか8秒ですべての動きを始められるように慣れなければいけないな」とチョリッチは語った。

初めてのシステムやルールにとまどいも多くあったが、おおむね良い方向で試合が進められたようだ。

しかし、こういったシステムやルールがどのように、どれだけ取り入れられてスタンダードになっていくのか、まだまだ議論が必要なところだ。

(テニスデイリー編集部)※写真はコーチとテレビ電話で会話をするカチャノフ

(Photo by Emilio Andreoli/Getty Images)