先日5日に行われた「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の組み合わせ抽選会は、スタイリッシュなセレモニーにしようとATPが企画をしたところ思わぬ差別問題へと発展し、ATPが謝罪する事態に追い込まれた。抽選会は選手たちがふたりの女性…

先日5日に行われた「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の組み合わせ抽選会は、スタイリッシュなセレモニーにしようとATPが企画をしたところ思わぬ差別問題へと発展し、ATPが謝罪する事態に追い込まれた。

抽選会は選手たちがふたりの女性モデルのどちらかを選び、そのモデルが予選「ラウンドロビン」のグループ分けのAかBを発表するという手段だったが、そのやり方が"セクシー"すぎたのだ。じつは、モデルたちの太もも部分にAかBの文字が隠れていて、彼女たちはドレスの裾をめくり、文字を披露するスタイルだった。

この「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の抽選会は、大会が開かれるミラノがファッション業界の拠点であることから、ファッション性をテーマに企画されたが、このドロー方法をめぐり、ATPは女性蔑視の汚名を着させられることになってしまった。

セレモニーを見ていた、2度のグランドスラム優勝をしたアメリー・モレスモー(フランス)は「恥さらし」と、アンディー・マレー(イギリス)の母親ジュディさんは「ひどい」とそれぞれがツイートし不快感を表明した。セレモニー翌日の6日にATPと大会スポンサーのレッドブルが謝罪をすることになった。

ATP会長のクリス・カーモード氏はトーナメント前の通常会見で「あくまでもファション業界におけるミラノの伝統をセレモニーのテーマの一部として織込みかっただけ。不幸にもそのやり方が不適切であった。大変申し訳ない。今後2度とこのようなことがないことを約束する」とコメント。カーモード氏は、選手たちにこの件に関してのインタビュー対応は避けさせ、「起こしたことに対する全ての責任は持つ。選手達をあのような立場に立たせてしまったことを申し訳なく思う。選手達は全く無関係で何の責任はない」と続けた。

ATPとレッドブルは、会見前に短い謝罪文を発表したが、その中でも会見と同じことを語っていた。なお、イタリアテニス連盟は今回のセレモニーを主催したのはATPであるとし、コメントを避けた。

テニスが女性蔑視の騒動に巻き込まれたのはこれが初めてではない。2015年の全豪オープンで、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とユージェニー・ブシャール(カナダ)がそれぞれの試合で勝利後、男性インタビュアーからクルっと回ってポーズを取るよう依頼されたことがあった。

「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」は、7日からミラノで始まる。21歳以下の選手を対象とした上位ランキング7名とワイルドカードで選ばれる選手1名の計8名で行われる。上位シード権を持つのはアンドレイ・ルブレフ(ロシア)とカレン・カチャノフ(ロシア)だ。トップの参加資格を持っていたアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は来週ロンドンで行われる 「ATPファイナルズ」に集中するため今大会への参加は辞退した。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」組み合わせ抽選会での、ATP会長のクリス・カーモード氏

(AP Photo/Luca Bruno)