FW上田綺世(27=フェイエノールト)が異例の背番号変更で迎える“初陣”で、南米の難敵からゴールを奪う。日本代表は10日…

FW上田綺世(27=フェイエノールト)が異例の背番号変更で迎える“初陣”で、南米の難敵からゴールを奪う。日本代表は10日のパラグアイ代表との親善試合を控えた9日、試合会場のパナスタで最終調整。エースFWは今回の活動からこれまで代表で背負った9番から18番に変更した。父に憧れてサッカーを始めた頃からつけてきた愛着の強い番号。今季リーグ戦開幕から8戦8発のストライカーが、南米勢との連戦で新たな「18」像を作り上げる。

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上田が念願かなって手にした番号で、新たなFWイメージを植え付ける。

これまで代表では13番や21番をつけ、22年からは9番で定着していた背番号を、今回の活動から変更した。9番といえば、ストライカーを象徴する番号。それでも求め続けたのは、別の番号だった。「いわゆる“良い番号”には興味がなかった」という上田が「(協会に)ずっとお願いしていた」という番号は「18」。元ドイツ代表のレジェンドFWクリンスマンを好きだった父晃さんが好んでつけていたものだ。

「自分がサッカーを始めたきっかけは父に憧れてだった。ずっと父のまねをして18番をつけてきた」。プロ入り前や鹿島、東京五輪でも、チャンスがあれば選択してきた。「海外でも代表でもプレーする今だからこそ、そこにはこだわり続けたい」と出し続けたリクエストが、今回A代表では初めてかなえられた。

今季は所属するフェイエノールトで開幕からリーグ8試合で8ゴールと大爆発し、オランダで得点ランクトップに立つ。日本屈指の得点能力を見せつけたことも、今回の念願成就を引き寄せた。

5日のユトレヒト戦でも2得点を決めて代表に合流。「体の状態、プレーのフィーリングはいい。結果が出ている分、自信を持ってプレーできるし、良い方に影響すると思う」と好調ぶりをアピールした。同僚DF渡辺が「チームの核で、彼がいないと点が取れない」と評する。それほどの不動の存在が、W杯出場を決めた南米予選の18試合で10失点と堅守を誇るパラグアイからのゴール奪取に自信を見せた。

日の丸では東京五輪以来となる18番でのプレーとなる。過去のA代表では本田圭佑、大迫勇也、浅野拓磨らも背負ったが「僕にとっては関係ない。番号に意味をもたらすのは個人の背景だと思っている」とキッパリ。18番に憧れる少年が増えれば「それは父も喜ぶと思う」と話し、あくまで父との関係性を重視したものであることを強調した。

「ようやく自分の欲しかった番号をもらえて、それを国と一緒に背負って戦えるのは僕にとっては特別」。新たな気持ちでピッチに立つストライカーが、南米の強豪からの得点で「18」を一気に浸透させる。【永田淳】

◆背番号18 日本がW杯に初出場した98年大会はエースに指名されたFW城彰二がつけた。02、06年大会は2大会連続でMF小野伸二。10年大会からはFW本田圭佑、FW大迫勇也、MF大島僚太、前回22年大会はFW浅野拓磨が背負った。W杯に歴代最多5大会連続出場の元メキシコ代表MFアンドレス・グアルダドは好んで18番を着用した。

背番号アラカルト

◆クライフの「14」 レギュラーは11番以下が定番だった中、クライフはオランダ代表でもバルセロナでも「14」を選択した。

◆代名詞 ドイツ代表の「13」はゲルト・ミュラー、バラック、トーマス・ミュラー。元イタリア代表のピルロは「21」を愛用。

◆「02」番 ACミランで「10」を背負っていた本田圭佑はメキシコのパチューカに移籍した際に空き番号の中から「02」を選択。同クラブは1~9番にゼロを加えて2桁表示。

◆ジョーダンから ベッカムがレアル・マドリードでつけた「23」は元NBAマイケル・ジョーダンの背番号から。それまでベッカムの代名詞だった「7」はラウルがつけていた。

◆「+」付き インテル・ミラノ時代のチリ代表サモラノは「18」の1と8の間に小さな「+」を入れた。足して9=気持ちは9番の意味。9番はブラジル代表ロナウドがつけていた。