初のベスト8進出を狙う日本代表にとって、2019年ワールドカップはホームの利を活かせる大会となりそうだ。 11月2日、東京都内のホテルにて第9回ラグビーワールドカップ全48試合の日程、対戦カード、スタジアム会場が発表された。2019年…

 初のベスト8進出を狙う日本代表にとって、2019年ワールドカップはホームの利を活かせる大会となりそうだ。

 11月2日、東京都内のホテルにて第9回ラグビーワールドカップ全48試合の日程、対戦カード、スタジアム会場が発表された。2019年9月20日の開幕戦(東京スタジアム)と11月2日の決勝戦(横浜国際総合競技場)はすでに決定済みだったが、決勝戦までちょうど2年となるこの日、残りの46試合もすべて明らかとなった。



2年後のW杯に意気込むジェイミー・ジョセフHCとリーチ マイケル

 ラグビーワールドカップは出場20チームがA~Dの4つの予選プール(組)に分かれて総当たり戦(計40試合)を行ない、上位2チームが決勝トーナメント(計8試合)へと進出する。A~D組のプール分けはすでに5月に決定しており、下記のとおりだ。

【プールA】 ※カッコ内の数字は10月30日現在の世界ランキング
アイルランド(4)/スコットランド(6)/日本(11)/ヨーロッパ地区1/ヨーロッパ・オセアニア大陸間プレーオフ勝者
【プールB】
ニュージーランド(1)/南アフリカ(5)/イタリア(14)/アフリカ地区1/敗者復活予選優勝チーム
【プールC】
イングランド(2)/フランス(8)/アルゼンチン(10)/アメリカ(17)/トンガ(13)
【プールD】
オーストラリア(3)/ウェールズ(7)/ジョージア(12)/フィジー(9)/アメリカ地区2

 世界中が注目しているニュージーランドvs.南アフリカは2019年9月21日、イングランドvs.フランスは同年10月12日、ともに横浜国際総合競技場で行なわれることになった。そして、気になる日本代表の日程、対戦相手、開催スタジアムは次のように発表された。

2019年9月20日(金)
日本vs.ヨーロッパ地区1(東京スタジアム)
2019年9月28日(土)
日本vs.アイルランド(小笠山総合運動公園エコパスタジアム)
2019年10月5日(土)
日本vs.ヨーロッパ・オセアニア大陸間プレーオフ勝者(豊田スタジアム)
2019年10月13日(日)
日本vs.スコットランド(横浜国際総合競技場)

 この日程を見ると、いろいろと理想的であることがわかる。

 まず、初戦ではヨーロッパ地区代表と戦うことになるが、その枠にはルーマニア(世界ランキング15位)が勝ち上がってくることが有力視されている。6月の対戦で勝った相手だけに、オープニングマッチで勝利すれば勢いに乗ることができるだろう。キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケルはこの初戦に対し、「緊張するゲームです。4試合のなかでひとつも楽な試合はないので、最初から100%の力を出していきたい。しっかり準備して自分たちの力を出し切り、自信をつけたい」と語気を強めた。

 2戦目は格上のアイルランド。もし負けてしまっても、3戦目はサモア(世界ランキング16位)が確実視されているヨーロッパ・オセアニア大陸間プレーオフ勝者と対戦することになる。サモアとは2015年ワールドカップで対戦して快勝しており、日本代表にとってはいいイメージを持っている相手だ。

 そして最終戦は、前回大会で唯一敗戦を喫したスコットランドと激突する。もし2勝1敗で最終戦に臨むことになれば、この試合は決勝トーナメントを賭けた大一番となるだろう。「最初の3試合にベストを尽くさないといけないが、個人的にスコットランドには、すごくリベンジしたい気持ちがあります」(リーチ)

 日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は予選プール全体を見て、このように率直な感想を述べていた。

「非常に恵まれた日程だと思います。4週間で4試合のテストマッチを戦うことは試練だと思っているので、チャレンジしていきたい。開幕戦はルーマニアと戦うことになると、ほぼ思っています。また、アイルランドとスコットランドはすでに戦ったことがある相手なので、日本がこのプールに入ったことは好都合です」

 日本が予選プールAを1位もしくは2位で抜けた場合には、決勝トーナメントの準々決勝は予選プールBの1位or2位、ニュージーランドもしくは南アフリカと対戦することになるだろう。いずれにせよ、ワールドカップ3連覇を狙うオールブラックスか、前回大会で日本が歴史的勝利を挙げた南アフリカと対戦することになれば、大いに盛り上がるはずだ。

 また日程的にも、日本代表はかなり優遇されていると言えよう。

 前回大会は中3日、前々回大会は中4日と、日本は厳しいスケジュールでワールドカップを戦った。だが今回は、ニュージーランドやイングランド、南アフリカ、スコットランドなどが中3日で試合を行なうなか、日本代表は中7日が2回、そしてもう1試合は中6日と、十分に休養を取りながら準備することができる。過去に2度ワールドカップに出場したSH(スクラムハーフ)田中史朗はこのスケジュールに対し、「身体にあまり負担にならない日程になっているので戦いやすい」と本音をのぞかせていた。

 さらに開催スタジアムも、日本にとって好条件と言えるだろう。日本が予選プールを戦う4試合の会場は、東京、静岡、豊田、横浜と、関東~東海地方に集中しているため、キャンプ地の選定や移動といった面で好都合だ。新幹線でも、バスでも、試合のあったその日のうちにキャンプ地に戻って休養をとることができる。「選手たちに一番いい準備をさせたい。移動が多いと悪影響になるから、なるべく避けたいと思っていました」と、ジョセフHCもこの決定を歓迎している。

 日本と予選プールで対戦するヨーロッパの3チーム、そして3戦目の相手となるであろうサモアともに、FW陣の体格は総じて大きく、スクラムやラインアウトで強さを見せつけてくるはずだ。ジョセフHCはそれらに対抗すべく、「各チームともFWが大きくて強いので、(日本も)FWで勝てる準備をしないといけない」と、決勝トーナメント進出のカギとなるポジションをFW勢と語った。

 初となる母国開催のワールドカップで、日本代表はさまざまな面で優遇されたと言えるだろう。ファンからはホームならでは大声援を受けることも間違いない。もちろんそのぶん、プレッシャーもあるはずだ。「ホームで戦うことのプレッシャーを、プレジャー(喜び)に変えていきたい」と指揮官が言うように、日本代表は2年後、ラグビーで世界中を沸かせることができるか。