イタリア・ローマで開催されている「BNLイタリア国際」(5月9~15日/賞金総額239万9000ユーロ/クレーコート)の女子シングルス2回戦で、土居美咲(ミキハウス/45位)が、第10シードで世界15位のルーシー・サファロバ(チェコ)を…

 イタリア・ローマで開催されている「BNLイタリア国際」(5月9~15日/賞金総額239万9000ユーロ/クレーコート)の女子シングルス2回戦で、土居美咲(ミキハウス/45位)が、第10シードで世界15位のルーシー・サファロバ(チェコ)を6-3 7-5のストレートで下し、3回戦に進出した。サファロバは昨年の全仏オープンの準優勝者。

 土居の次の対戦相手は、第7シードのロベルタ・ビンチ(イタリア/7位)を下して勝ち上がったジョハナ・コンタ(イギリス/23位)で、試合は12日の午後に予定されている(11時開始のコート1、第3試合)。    ◇   ◇   ◇  試合後、土居は「自分のスタイルを終始貫くことができてよかった。うれしい」と率直な気持ちを漏らした。  フルスイングのショットを小気味よく打ち、フォアハンドで厳しいコースを突いて相手にミスを強いる。自分のミスを最小限に抑えつつ、角度の厳しいクロスや鋭いダウン・ザ・ラインを打ち込み、エースも数えきれないほど奪った。土居は、最初にブレークを果たして3-1とした直後に、セカンドサービスを叩かれブレークバックされたが、次のゲームでまたもブレークする精神的強さを披露した。4-2とした第6ゲームでは、フォアのドライブボレーを叩き込む思いきりのよさ、ラリー戦では、仕掛けつつも安易にミスをしない粘り強さの双方を見せ、結局、土居はこのセットを6-3で取る。  第2セットでも同じ攻撃的な姿勢で、ただちにサファロバの最初のサービスゲームをブレークするが、これは決して楽なセットではなかった。集中力を上げ、巻き返そうとしてくるサファロバが反撃を始め、土居はそれを押し返さなければならなかったからだ。

ルーシー・サファロバ 

 「第2セットは、3-0にできそうなところでできなくて、その辺りから相手もサービスがすごくよくなった。そのため、なかなかブレークチャンスもなく、追いつかれて、という、けっこう嫌な展開だった。マッチポイントも何本かあった中、追いつかれそうな、逆転されそうなところだったが、そこでしっかりと自分で踏ん張ることができた。最後の厳しい競り合いの部分で、気持ち的にもしっかりと(高く)保ってできたのが勝因だと思う」と土居は振り返る。  確かに第2セットでブレークバックされて3-3となってからは、土居にミスが増えた時間帯もあり、試合の流れはふたりの間を行き来していた。

 メンタル的に崩れなかった土居は、5-5からの相手のサービスゲームで、甘いサービスを容赦なく叩き、ブレークに成功。最終ゲームではサファロバも意地を見せて食い下がり、40-15のマッチポイントから40-40に追いつく競り合いとなる。その後、ブレークポイントをつかんだサファロバに対して、フォアハンドのダウン・ザ・ラインを叩き込む度胸を見せた土居。苦しい状況でも一歩も引かず、最後は、サファロバのリターンがラインを割り、断続的な小雨の中で行われた、1時間32分31秒の戦いに終止符が打たれた。  「1回戦のときのほうが緊張していた。今日は上の選手なので、当たって砕けろ、のようなチャレンジャー精神でできたので、そこはよかったと思う」と土居は振り返る。第2セットの途中で一時流れが変わりかかったときについては、「2-0から3-0にできなかったというのが、少し引っかかっていたところ。また勝ちを意識した部分もあったが、そこでガタガタと崩れずにできたのが、今日一番よかった」と回顧した。

 今日は何がうまくいったのか、と聞かれると、「メンタル」と即答した。 「自分のテニスを貫き通せた、という意味でメンタルはよかったと思う」  20位以内の選手を破って、WTAプレミアで3回戦進出という大きな一歩を踏んだ土居は、試合終盤に崩れず、勝ち切れた理由については、「そういう状況を何回も潜り抜けてきたという、経験によるところが大きい」とし、「今日は特に、最後まで徹底して自分のやるべきことができた。最後まで崩れず締めることができたということが、おそらく今後のための自信になると思う」と締めくくった。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子、構成◎編集部)