ベルギーGPではポイントにあとわずかのところまで迫った角田(C)Getty Images アクシデントに苛まれ、あと一歩…

ベルギーGPではポイントにあとわずかのところまで迫った角田(C)Getty Images

 アクシデントに苛まれ、あと一歩のところで“結果”は掴めなかった。去る7月27日(現地時間)に決勝を迎えたF1今季第13戦のベルギーGPで、13位に終わったレッドブルの角田裕毅だ。

「とてもイライラする展開になったね」

 そう憂いた本人にとっては不本意な週末だった。

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 今GPから陣頭指揮を執ったローラン・メキース新代表の“鶴の一声”で、これまでエースのマックス・フェルスタッペンを優先していたマシンアップデートが、予選から角田にも投入。今年3月末の昇格以来、最高順位となる7番手で決勝を迎えていた。

 しかし、迎えた決勝で角田は失速する。我慢しながら7番手をキープしていた25歳は、12周目を終えようとした段階でのピットインを思案。しかし、担当レースエンジニアのリチャード・ウッド氏とのやり取りで齟齬があり、あろうことかタイミングが1週遅れてしまったのだ。

 角田自身がFワードを用いて「ふざけんな!」と怒りを爆発させたヒューマンエラーだった。メキース代表もチーム側の不手際と認め、謝罪する異例のアクシデントで順位を大きく落としてしまった日本人ドライバーは、6戦ぶりとなる入賞を逃した。

 新型パーツを装着し、改善の兆しを見せながら、またもポイントを逸した。その事実に良くも悪くも議論の的となっている。英衛星放送『Sky Sports』で解説を務める元F1王者のニコ・ロズベルグ氏は「ユウキには時間がない。今すぐ結果を出さないと、つまりポイントを獲得しないといけない」と強調している。

「世界選手権でまだ10ポイントしか獲得していないなんて、それは信じられないことだし、現実的じゃない。マックス・フェルスタッペンとは比べ物にならないほど差がある」

 絶対的なエースとの「差」を論じるロズベルグ氏だが、ベルギーGPの予選から続いていた角田の好走を完全否定するわけではない。かつての名手は、こうも続けている。

「ユウキは7位でこのグランプリの予選を通過した。これは大きな進歩だ。彼はマックスにずっと近づこうとしていた。それはこれまでの彼を考えれば、前向きな兆候だったと思う」

 次戦のハンガリーGPは、約4.4kmの短いコース内に14コーナーが待ち構える、タイトでトリッキーな難しいサーキットが舞台。中低速での操作が求められるため、レッドブルのマシンには不向きとみられている。逆に言えば、ここでロズベルグ氏が指摘したような「結果」を残せれば、角田の株は間違いなく急騰する。

 ベルギーでキッカケを掴んだ角田は、難所で汚名返上の走りを見せられるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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