これまでも角田を評価しつつ、エースであるフェルスタッペンとの差を明確にしてきたマルコ博士。(C)Getty Images…

これまでも角田を評価しつつ、エースであるフェルスタッペンとの差を明確にしてきたマルコ博士。(C)Getty Images
今夏は常勝軍団での生き残りを懸ける角田裕毅にとって正念場となりそうだ。
電撃的な抜擢から25歳は、苦闘が続いている。今季開幕を姉妹チームのレーシングブルズで迎えた角田は、開幕2戦終了直後に、成績不振に陥っていたリアム・ローソンとの後退で、レッドブルに昇格。凱旋となる日本GPを前に大役を授かった。
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ただ、昇格後のパフォーマンスは決して芳しくはない。無論、「操作困難」とされるマシン『RB21』への適応に時間を必要としたためでもあるのだが、昇格から8戦に参戦して獲得ポイントはわずかに4。現地時間6月27日から始まった第11戦のオーストリアGPまでのコンストラクターズランキングで1位のマクラーレンと212ポイント差の4位と低迷するレッドブルに貢献しきれずにいる。
もっとも、ここまでの不振は、過去にセカンドドライバーの交代を立て続けに行ってきたレッドブル首脳陣の判断が招いた結果という声も小さくない。絶対的エースであるマックス・フェルスタッペンを“優遇”するがゆえに、チームメイトとなるドライバーへのサポートが万全ではないではないかと疑問視する声が尽きないのも事実だ。
しかしながら、レッドブル幹部は、あくまでフェルスタッペンを勝たせることで、チームを浮上させる方針を変えようとはしていない。顧問を務めるヘルムート・マルコ博士は、オーストリアの日刊紙『Kleine Zeitung』のインタビューで、チームの現状について「今はチームを勝ち続けるための軌道に戻すことに最大の焦点を置いている」と強調。その上で、セカンドドライバーについて興味深い言及をしている。
「マクラーレンと戦うチャンスを得るためには、すべてが100%完璧でなければならない。しかし、それは簡単ではない。なぜなら、我々には実質的にドライバーが一人しかいないからだ。誰を選ぶかは問題ではない。2016年にマックスがマシンに乗って以来、他のドライバーは遅かれ早かれリタイアしたり、ミスをしたり、マックスに打ち負かされたりしている」
2016年からレッドブルが採用してきたセカンドドライバーは、実に6人。その全員のクオリティーがエースに及んでいないと言い切るマルコ博士は、角田の去就にも持論を展開している。
「シーズンが終わってから、ゆっくりと考えるつもりだ。ひとまず夏休み後に検討する。我々はリアム・ローソンとユウキ・ツノダと、それぞれ長期契約に切り替え可能な契約を結んでいる」
「株主からは、『若手ドライバーを起用し続ける』という明確なコミットメントが表明されている。交代させる意向は今のところないが、時折その話が持ち上がることもある。とにかく若々しく、生意気で、楽しいというイメージこそが、レッドブルを際立たせているんだ」
マルコ博士をはじめとする首脳陣から今後の見通しが再評価されるであろうサマーブレイクを前に、角田に求められるのは「結果」。何よりも評価されるエースを支える安定した走りを見せ、上位に食い込めるか否かは、レッドブルでのキャリア継続の大きなカギとなりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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