ATP公式サイトは、インフォシス社提供のATPビヨンド・ザ・ナンバーズを見ると、ファーストサーブをリターンする難しさをラファエル・ナダル(スペイン)がいかに克服しているかがわかる、と報じた。サービスリターナーにはあらゆる不利がのしかかる。ま…

ATP公式サイトは、インフォシス社提供のATPビヨンド・ザ・ナンバーズを見ると、ファーストサーブをリターンする難しさをラファエル・ナダル(スペイン)がいかに克服しているかがわかる、と報じた。

サービスリターナーにはあらゆる不利がのしかかる。まず、コートに打ち付けられる最速のショットと向き合う。球速は時速140マイル (約220㎞) 以上になることもあり、瞬く間にボールは視界から消える。次に、試合中に獲得する10ポイントのうちリターンの得点は3ポイントにも満たないという、希望のない統計数値が頭をよぎる。ファーストサーブをリターンするのはテニスというスポーツで最も過酷な要素の1つであり、勝敗を左右する重要な要素。ごく少数の選手のみが得点率30%以上になんとか手が届く。コートサーフェスと球速で違いはあるが、上位100選手のリターンポイント獲得率は概ね26~30%で、平均値はちょうど28%となっている。

今シーズン世界ランキング1位に返り咲いたナダルに関する、 インフォシス社提供のATPビヨンド・ザ・ナンバーズの分析を見ると、リターンの得点率におけるナダルのパフォーマンスが、1位復帰を明確に後押ししていることがわかる。ナダルは、ファーストサーブのリターンポイント得点においても2017年ツアー1位で、その確率は35.2% (971/2761) である。クレーコートの試合に限定すると、驚異的な43.4% (454/1045) という数値になる。

世界ランキング1位で2017年シーズンをスタートしたアンディ・マレー(イギリス)は、ファーストサーブのリターン得点率においては今シーズン2位で、数字は34.7% (640/1847) 。ツアー参加選手中現時点でのリターナー1位はディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)で、リターンゲームでの得点率が36% (195/544) と申し分ない数字。ファーストサーブのリターン得点率では3位で、34.5% (724/2099) 。

他のファーストサーブリターン得点上位10選手は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が33.5%、ロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)が32.8%、ロジャー・フェデラー(スイス)が32.5%、ファビオ・フォニーニ(イタリア)が31.9%、ドミニク・ティーム(オーストリア)が31.8%、マリン・チリッチ(クロアチア)が31.6%となっている。

この統計数値では、2011年以降の直近6シーズンにおいてナダル、ジョコビッチ、マレーのいずれかが1位になっている。

この分野で成功する秘訣は、向かってくる球速の力を利用して跳ね返すことで、打ち返す球速を自ら生み出すことではない。コンパクトで短いバックスイングと守りの姿勢でファーストサーブをブロックすると、ラリーにおいてファーストサーブの威力を瞬時に落とすことができる。

サーブのハロー効果は、特にラリー中のもう2回のショットまで続く。サーバーは相手のストロークに対して体勢を整えてショットを打つことができる。またファーストサーブを打つことで攻撃体勢に入れるので積極的にプレーすることができるのである。しかし、上述の有能なリターナーはこのようなサーバー側のアドバンテージを帳消しにしてしまい、しばしば「サーブ+1ストローク 」でサーバーをたちまち不利な態勢に追い込む。

まずやるべきことは、方向を全く変えずにサーバーの正面に打ち返すこと、そしてできるだけコートの深い位置にリターンして、サーバーが球に向かってくるのではなく球をよけるように仕向けることだ。

テニスにおいては、10回のリターンで3回得点する快感を味わう戦略はこれ以外にない。まずはディフェンス、そしてサーバーの真正面に深くリターンショットを打つことで、できるだけ早い段階で互角の態勢に持ち込むことだ。(テニスデイリー編集部)

※写真は驚異的なファーストサーブリターン率を記録したナダル(「上海ロレックス・マスターズ」の時のもの)

(Photo by Yifan Ding/Getty Images)