蹴球放浪家・後藤健生は、旅とサッカーの試合には通じるものがあると考えている。この2つには、綿密なプランと、周囲の状況確…
蹴球放浪家・後藤健生は、旅とサッカーの試合には通じるものがあると考えている。この2つには、綿密なプランと、周囲の状況確認、危機管理…が必要だからだ。今回は、6月10日のサッカー日本代表の試合後についてリポートする!
■夜行バスで「東京」に戻れない
放浪(旅)はサッカーの試合と同じです(な、わけないか……)。
「なぜ」って? 綿密な計画(ゲームプラン)が必要で、かつ、周囲の状況確認と危機管理が必要で、臨機応変の判断が必要だからです。
6月10日のワールドカップ・アジア3次予選最終戦が大阪・吹田で行われることが決まってから、プランを考えました。
吹田で19時35分キックオフの試合ですと、試合が終わって監督記者会見が終わると、23時近くになってしまいます。従って、夜行バスで東京に戻ることはできませんから、大阪近辺で1泊することになります。
まず、考えたのは翌日のスケジュールです。
翌11日には天皇杯の2回戦が行われることになっていました。昼のうちに東京に帰って、首都圏で天皇杯を見るというのが最も普通の選択です。
しかし、僕は「せっかく関西に行っているのだから、関西での試合を見たいな」と思ったのです。
関西では京都、大阪(セレッソ)、神戸で天皇杯の試合があります。しかし、神戸で試合を観ると、夜行バスの出発がギリギリになってしまいます。その点、東京に近い京都なら深夜まで東京行きのバスはたくさん走っていますから、延長戦になっても間に合います。そして、京都便はバス料金が安い(最低で2500円なんていう席もあります!)。それに、サンガスタジアムbyKYOCERAで試合を観る機会は少ないので、京都で試合を観ることにしました。
■19世紀の「遺物」に行くべきか
幸い、今シーズンの京都はリーグ戦でも好調……。ということで、翌日の夜の日程は決まりました。
「では、翌日の昼間は何をしていようか?」
いくつか時間をつぶす候補を思い浮かべました。
大阪・夢洲で開催されている「大阪関西万博」を見物に行くことも考えましたが、主催者の方々には申し訳ありませんが、僕は万博なんていうのは19世紀の遺物だと思っています。
だいいち、大阪万博はもう55年前に見たことがありますからね(神戸でのベンフィカ戦前日に万博を見物。ポルトガル館でエウゼビオを含む選手団一向と遭遇し、サインをもらったという話は「放浪記」第219回にも書きました)。
そうしたら、京都国立博物館で「日本、美のるつぼ」、奈良国立博物館で「超国宝」という特別展をやっていることを知りました。で、しばらく悩んだ末、僕は「超国宝」展を見に行くことにしました。ま、こちらは7世紀、8世紀の遺物なわけですが……。
■インバウンド需要の「拡大」で
11日の朝は少しゆっくりして、ホテルのチェックアウト時刻に合わせて出発。昼前から午後にかけて博物館。それから、食事などしながら、ゆっくり移動して亀岡に向かう……。完璧なゲームプランができてきました。
さて、1泊するとなると、ホテルを決めなくてはなりません。
ここ数年、僕は大阪に来ると、必ず梅田に近いエリアの安価なホテルに泊まっていました。コロナ禍の頃までは1泊4000円前後で泊まれました。バス・トイレにテレビ、WiFi、冷蔵庫付きでその値段なら、部屋が多少狭くても十分でした。
ところが、最近の諸物価高騰とインバウンド需要の拡大のせいで、どこでもホテル代が上がっています。“定宿”だったそのホテルも改装され、きれいになりましたが、その分、値上がりしてしまいました。