◇メジャー第3戦◇全米オープン 3日目(14日)◇オークモントCC(ペンシルベニア州)◇7372yd(パー70)アダム…

◇メジャー第3戦◇全米オープン 3日目(14日)◇オークモントCC(ペンシルベニア州)◇7372yd(パー70)
アダム・スコット(オーストラリア)は出だし1番で左サイドのカラーからの長いバーディトライを大きくショートし、いきなり“3パット”でボギーを喫した。それでも、スコアを落としたホールはここだけ。大会3日間を通して出色のティショットから安定してゲームを組み立て、雨で軟らかくなったグリーンに対するスピンコントロールも抜かりなかった。
後半13番(パー3)は8Iで右上から傾斜も使って戻し、ピンそば1.5mへ。奥ピンにキャリーでウェッジショットを突っ込んだ14番は上からスピンバックしたボールがカップに入ってもおかしくないスーパーショットだった。2連続バーディを奪うと、この日バーディ0だった15番も右ラフから右のガードバンカーに落とした後のリカバリーで踏ん張り、ピンチを切り抜けた。

「67」はカルロス・オルティス(メキシコ)と並ぶ3日目のベストスコア。「明らかにソフトで、スピンコントロールが難しかった。ただ、無理をしないように。残り距離でハマる番手がない時はピンそばに打てないことを受け入れて、安全なショットをしていった」と振り返る。24回目の大会出場はフィールド2番目の数字。熟練の技に加え、最終18番の1Wショットはボール初速187mph(約83.59m/s)をたたき出す力強さもあった。

通算3アンダーで首位と1打差2位に浮上した。リーダーボードを見渡せば、トップ10では唯一となるメジャータイトル獲得経験者。それが2013年「マスターズ」と時間を挟んでいること、近年必ずしもコンスタントに優勝争いに絡んでいるわけではないことを受け入れる。「僕は5、6年前からこういうポジションにいるわけでもないし、自分がそういう選手だと感じてもいない。でも、それを目指して常に努力はしているんだ」
12年ぶりのメジャー2勝目となれば、初優勝から2勝目のブランクとしては史上最長。44歳334日で迎える最終日には、1990年大会を45歳15日で制したヘイル・アーウィンに次ぐ大会2番目の年長優勝もかかる。フィル・ミケルソンが50歳でメジャー最年長優勝記録を更新した2021年「全米プロ」以降、40歳を超えてメジャーを制した選手はいない。40代の全米オープンチャンピオンも1999年のペイン・スチュワート(42歳)までさかのぼる。

ここまでメジャー96試合連続出場で、ジャック・ニクラスの史上最長146試合に次ぐ歴代2番目の記録を継続中。「あした優勝を手にすることができたら、とんでもないゴルフになるだろう。僕のキャリアにおいて驚くべき日になるね」。長きにわたる歩みの途中で訪れたビッグチャンスを逃すわけにはいかない。(ペンシルベニア州オークモント/亀山泰宏)