『僕の野球人生』第11回

上屋 佳子 マネージャー (4年・筑波大附属高校)

 

4年生特集、≪僕の野球人生≫では、ラストシーズンを迎えた4年生全員に1人ずつ、今までの野球人生を振り返ってもらいます。

第11回となる今回は上屋マネージャーです!

--------------------------------------------

2006年夏の甲子園決勝、早実対駒大苫小牧。

小学5年生の私は、斎藤佑樹投手と田中将大投手が投げ合ったあの伝説の一戦を見て、高校球児たちの一球一打にかける想いの強さに心を打たれ、高校野球の虜になりました。そして、高校で野球部のマネージャーになる、そう心に誓いました。これが私の野球人生の原点です。

高校に入学し、私はずっと憧れていた野球部のマネージャーの道に進みました。中学では吹奏楽部を選んだけれど、やっぱり野球部のマネージャーがしたかった。せっかく高校野球に関わるチャンスがあるなら、試合の時だけスタンドから応援するのではなく、野球部の一員として一緒にもがき苦しんで共に戦いたかった。それからは朝も昼休みも放課後も必死に練習し野球に打ち込む選手の姿を見て、私も何か力にならなければとチームのためにできることを模索する毎日でした。ベンチ外の部員は公欠を認められず公式戦に行くことができずに泣いたこと、強豪校と練習試合を組み同期のみんなに喜んでもらえたこと、マネージャー1人で合宿を乗り切ったこと、選手の友人たちや保護者の方々など様々な人の思いがつまった折り鶴を3ヶ月かけて繋げて形にしたこと、定期戦で勝ってみんなで嬉し泣きしたこと…思い出を挙げたらきりがありません。ただ、3年生の公式戦で1勝もできなかったことだけが私の高校野球生活の心残りでした。“勝ち上がって神宮で試合をしよう。”その目標を達成できないまま、私たちの最後の夏は終わりました。受験勉強も手につかずテレビで東東京大会を見ていると、神宮のベンチには私が作った千羽鶴が飾られていました。たくさんの思いが詰まった千羽鶴が神宮のベンチまで届いたことは嬉しかった反面、千羽鶴を相手校に渡す時に選手から言われた「こんなに早く渡すことになってごめんな。」という一言を思い出し、神宮に行けなかった悔しさが心に蘇りました。神宮球場という野球の聖地に惹かれ続けた私は、東京六大学でマネージャーをするために、東大野球部に入るために、東大を受験しました。

東大野球部に入部したばかりの頃は神宮で試合ができることに感動し、同期が出るたびに「神宮のグラウンドに立てるってすごいことだよね。」と話していたのを覚えています。私にとって神宮球場は、それほどまでに憧れた特別な場所でした。そしてその特別な場所で勝利した時の感動は何にも代えがたく、アナウンス室から見届けた勝利の瞬間の歓喜に満ち溢れたスタンドや部員の笑顔はずっと私の心に焼き付いています。これは決して忘れることのない、私の大切な宝物です。

その勝利に自分が貢献できているか、と言われれば、誰も気付かないくらいほんの小さな力にしかなれていないかもしれません。私にはプレーで勝利に直接貢献することは疎か、選手の技術を向上させることも、怪我を治してあげることもできません。私たちマネージャーにできるのは、選手が何不自由なく、気持ち良く練習に打ち込めるような環境を作り、応援してくれるファンを増やし、選手たちが輝くために努力する場所を、そして輝ける舞台を整えることだけです。きつい練習の後やオフの日にも一生懸命自主練習をする選手、大事な時期に怪我をしても諦めることなくリハビリをする選手、目標や練習方針についてミーティングを重ね意見し合う選手たち、夜遅くまで相手チームの動画を見て分析する選手、学生コーチ…。彼らの努力に比べれば私の努力なんて本当にちっぽけなものです。それでも選手、学生コーチが毎日必死で練習し、現状に甘んじることなく真摯に野球と向き合っている姿を近くで見てきたから、私もみんなに負けないくらい頑張ろう、少しでもチームのために力になろうと、今日までがむしゃらに歩んできました。これまで女子マネージャーに任されることのなかった責任の重い仕事を任せてくださった監督。苦手だったFacebookカバーやパンフレットのデザインにたくさんアドバイスをくれた理奈(奥山マネージャー/4年)。リーグ戦でのスタンプカード企画やグッズ販売など新しい提案にも賛同し、忙しい中相談に乗ってくれた陸離(黒田主務/4年)。いつも一生懸命な姿を見せてくれた選手のみんな。神宮で熱心に声をかけてくださったファンの方々。毎試合応援で神宮を盛り上げてくれた応援部の方々。様々な形でこのチームを支援してくださったOB・OGの方々。そして、私の進む道でいつも背中を押してくれた両親。野球を通してたくさんの人に出会い、支えられてここまで来ることができました。

試合の時、神宮のグラウンドに立っているのはたった9人、ベンチに入れるのもたった25人。それでも東大野球部員88人全員が、選手、学生コーチ、マネージャーというそれぞれの立場で、勝つために本気で野球と向き合っています。私はそんなこのチームが大好きで大好きで仕方ありません。

どんなときも応援し続けてくださっている皆さんと、ここまで一緒に頑張ってきた後輩たちと、3年半共に戦ってきた大切な同期のみんなと、勝ち点を取って喜びを分かち合いたい。みんなのキラキラした最高の笑顔を見るために、最高の瞬間を迎えるために、今自分にできることを最後までやり遂げます。

自分の進む道を選ぶ時、選んだ道の先にはいつも野球がありました。

その大好きな野球に本気で関われるのもあと少しです。

この道を選んで本当に良かったと最後に笑顔で言えるように、残り2カード、大切な仲間と共に全力で戦います。

最後まで熱いご声援よろしくお願いいたします。

--------------------------------------------

次回は上田学生コーチを予定しております。

お楽しみに!

(この記事は10月6日に公開されたものです。)