フィラデルフィアCCを舞台に、雨と風の強いコンディションで行われた今季シグネチャーイベント第6戦「トゥルーイスト選手権」では、フォローすべきギアに関するストーリーがてんこ盛りだった。モリカワが複数の変更コリン・モリカワのバッグの担ぎ手も変…

モリカワはブレード型に変更(Emilee Chinn Getty Images)

フィラデルフィアCCを舞台に、雨と風の強いコンディションで行われた今季シグネチャーイベント第6戦「トゥルーイスト選手権」では、フォローすべきギアに関するストーリーがてんこ盛りだった。

モリカワが複数の変更

コリン・モリカワのバッグの担ぎ手も変わったように、使用クラブも変わった。モリカワは「トゥルーイスト選手権」で新たにジョー・ゲイナーを自身のキャディとしたが、同様にバッグの中身も興味深いものだった。モリカワはフィラデルフィアCCで数々のギア変更を敢行したが、それは大会前に限定されたものではなかった。

最初の決断は、兄弟愛の町(フィラデルフィアの愛称)への旅路の中でゲイナーと交わされた会話がきっかけとなった。ツアーの200~225ヤードのアプローチで18位(平均距離約11メートル)につけるモリカワは、通常使用しているテーラーメイドP7CBあるいはP770の4番アイアンではなく、テーラーメイドQi35の9番ウッドを選択したのである。

モリカワは第1ラウンド後、「9番ウッドのことなんて、考えもしなかった。僕らがここへ飛行機で向かうなか、僕は4番アイアンについて聞いていたんだ。苦手にしているクラブではないけれど、僕は特定のコンディションで完璧な飛距離と打ち出し角を模索していたんだ」と述べた。

この新しいオプションは、軟らかいコンディションでロフトのあるフェアウェイウッドが恩恵をもたらした最初の2ラウンドでは有効だったが、コース中を強い風が吹き荒れた週末は、4番アイアンがバッグの定位置に戻された。

この変更に加え、これまでマレット型のパターを試してきたモリカワは、パターを信頼するテーラーメイドTPソトに戻す決断を下した。モリカワは前回のシグネチャーイベント(RBCヘリテージ)でスパイダーツアーVパターに乗り換えたのだが、グリーン上で苦闘を強いられ、72人のフィールド中、ストロークゲインド:パッティングを57位とした。ただし、モリカワは将来的にスパイダーを使用する可能性を認めている。

「これは、まだ終わったわけではないんだ。ここ数日間、自宅でパッティングしていた際、ブレードに戻してみると、たくさんパットが決まり、快適に感じられたんだ。それで、練習グリーンへ出て行って、“これを使おうか?これをやろうか?”と考えながら1、2時間を費やすのではく、これを使うべきだと思ったんだよ」

モリカワはテーラーメイドQi10 LSドライバーを使用した(Andrew Redington/Getty Images)

また、モリカワは「トゥルーイスト」にて、乗り換えていたQi35 LSドライバーではなく、2024年モデルのテーラーメイドQi10 LSドライバーを使用した。興味深いことに、モリカワはQi35モデルで、今季のストロークゲインド:オフ・ザ・ティのランキング(14位)を昨季(19位)より改善させていたのである。

2021年に初めてワナメーカートロフィーを獲得したモリカワが、クエイルホローでのメジャー「全米プロゴルフ選手権」でどのようなクラブセッティングを選択するかは、実に興味深いところである。

カントレーがパッティングの回帰を織り交ぜる

スコッティキャメロンのパターを使用するカントレー(Emilee Chinn Getty Images)

パトリック・カントレーはほとんどパターを変更しない。と言うより、ほとんどクラブを変更しない。昨年、ドライバーこそ新しいタイトリストGT2に変更したものの、今もバッグに収まった顔ぶれは、2014年モデルのタイトリスト913F 3番ウッド、2017年モデルのタイトリストAP2アイアン、そして2018年にリリースされたタイトリストTS2フェアウェイウッドとボーケイSM7ウェッジとなっている。

フェデックスカップを制覇した2021年のシーズン中に、ダブルベンドネックのスコッティキャメロン ファントム5ツアープロトタイプパターに乗り換えると、以来、このマレット型パターを使用し続けてきた。当時、これはアマチュア時代からプロでのキャリアのほぼ全体を通じてブレード型を使用してきただけに大きな変更だった。

しかし、「トゥルーイスト」では引き続きマレット型を使用したものの、プランバーネックのスコッティキャメロン ファントム7.2パターへ乗り換えることで、ブレード時代への回帰を図った。

スコッテキャメロンのツアーレップ、ドリュー・ページ氏は、「彼(カントレー)は以前使っていたスコッティキャメロン ニューポート2(ブレード型パター)に馴染みのある見た目を求めていたのですが、これが完璧にマッチしました。ブレード型で練習をしており、それがこのきっかけとなりました」と述べている。

ファントム7.2には、カントレーがこれまで使っていたファントム5よりも長いウイングが搭載され、プランバーネックが、ブレード型のようにストローク中に大きめのアークとトウのリリースを促す働きをする。数ラウンドを経て新たな装いに馴染んだカントレーは、最終ラウンドのグリーン上で3ストローク以上を稼いで大会を終えた。

ローリーが再び最適解を見つけ出す

スリクソンZXiを使用したローリー(Andrew Redington/Getty Images)

シェーン・ローリー(アイルランド)は2024年初頭以降、11度のトップ10入りをマークしつつ、「ライダーカップ」のチームメートであるロリー・マキロイ(北アイルランド)とタッグを組んで優勝を飾るなど、キャリア最高の好調ぶりを発揮してきた。それでも今年は、ティショットでの最適解を模索してきた。

今季序盤、ローリーはドライバーのテスティングで、暗中模索していたことを認めた。

ローリーは3月「アーノルド・パーマー招待」にて、「僕はここ(ベイヒル)で火曜に、ドライバー15本を練習レンジに持ち込んでいた。それで、どれにすることになるか、見当もつかなかったんだ」と冗談めかして言った。

「トゥルーイスト選手権」にて再び手応えを得た。スリクソンゴルフでツアーオペレーションを統括するマイケル・ジョリー氏によると、彼のチームがローリーの使っていたドライバーに亀裂を発見したとのこと。従ってバックアップのドライバーに戻すことになった。は引き続き、スピン量を減らすため三菱ケミカル ディアマナD+ホワイト70TXの装着されたロフト角9度のスリクソンZXiを使用した。願わくば、今後、このアイルランド人選手には、このドライバーでより良い成績を収めてもらいたいものである。

と言うのも、この新しいクラブで、ロイヤルポートラッシュで開催された2019年のメジャー「全英オープン」以来となるツアーでの個人戦優勝にあと一歩のところまで迫るという、ほぼ最高の形でスタートを切ったのである。ちなみに今夏の「全英オープン」もロイヤルポートラッシュにて開催される。

ファウラーがフィッティングの重要性を際立たせる

リッキー・ファウラーはフィラデルフィアCCにて、今季ツアーにおける自己ベスト15位タイに入った。「トゥルーイスト」で初優勝を遂げたツアー6勝のファウラーによるプレーの向上は、改善されたゴルフスイングに合わせて、アイアンに対する微調整を施したことに起因しているかもしれない。

第1ラウンド終了後、ファウラーは「僕らは昨日(水曜)、微調整を行い、アイアンを1度ずつ上げたんだ。良いスイングができ、余分な動きをすることなく振れているように感じていたのだけど、ボールが狙いより少し右に出ていたんだ。だから、今日はアイアン(のミスの幅)がタイトになって良かったよ」と述べた。

加えて、これまでよりスイング中の姿勢がアップライトになっていると感じており、微調整の結果、クラブのフェースは「より良く保たれ、よりスクエアにターフを抜けている」と述べている。これは定期的にクラブのロフトとライ角を確認するのは、誰にとっても重要だという教訓である。

オデッセイの多忙な1週間

長いネックと銅色のカラーリングからジラフビームと名付けられた(GolfWRX)

フィラデルフィアCCの練習グリーン上にいた者はオデッセイがツアーの現場で初めてジラフビームパターを披露するところを目撃した。その長いネックと銅色のカラーリングからジラフビームと名付けられたこのパターは、アジアの市場でのみ販売されてきたが、「トゥルーイスト」にて初めて米国で目撃された。

より長いプランバーネックがフェースバランスの具合を変えており、シャフトの中心点は、パターフェース中央へ近づけられている。ジラフビームには、センターシャフトにすることなく、オデッセイのスクエア2スクエアパターの持つゼロトルク特性を再現する狙いがある。

また、オデッセイはこの多忙な1週間の中で、一般向けにAiワン スクエア2スクエアマックスモデルもリリースしている。ツアーではいち早くフロリダスイング中に採用されたマックスとマックスストライプは、L.A.B.ゴルフのDF3パターに似たヘッド設計となっている。

オデッセイゴルフのシニアディレクター、ルーク・ウィリアムズ氏は、「このモデルは、我々のスクエア2スクエアパターで最も安定感のあるモデルです。このMOI(慣性モーメント)は6300を超えており、極めて高いMOIになっているのですが、この高慣性モーメントにトウアップバランスとゼロトルク特性を組み合わせたことにより、これらパターで驚異的な安定性を実現しました」と述べている。

ツアーにおいてスクエア2スクエアシリーズの勢いは加速し続けており、コーンフェリーツアーでの直近2大会では、13本が実戦投入されている。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)