選抜高校野球大会準決勝(28日、甲子園)○智弁和歌山5―0浦和実(埼玉)● 今大会旋風を巻き起こした浦和実の先発左腕・石戸颯汰(そうた)は、五回を除いて毎回走者を背負いながらの苦しい投球だった。独特な投球フォームで準々決勝まで無失点の…

選抜高校野球大会準決勝(28日、甲子園)
○智弁和歌山5―0浦和実(埼玉)●
今大会旋風を巻き起こした浦和実の先発左腕・石戸颯汰(そうた)は、五回を除いて毎回走者を背負いながらの苦しい投球だった。独特な投球フォームで準々決勝まで無失点の好投を続けてきたが、一回に智弁和歌山の打線につかまり初失点した。
「スイングの速さが違った。怖さがあった。打球が野手の頭を越えたり、間を抜かれたりして強打でした」
0―2の三回、クリーンアップを迎えた。先頭・山下晃平の右中間二塁打と福元聖矢の左前打の連続長短打で無死一、三塁のピンチを招く。「これ以上を点を取られたらまずい」。続く荒井優聖(ゆうき)を追い込みながら左犠邪飛を打たれて追加点を与えた。
いずれも高めに浮いた真っすぐをとらえられた。「疲れが抜け切っていなかった」。その後は2死までこぎつけたものの、味方の失策で2者の生還を許して、リードを5点差に広げられた。
肩付近まで足を高く上げて、左腕を隠すようなフォームは球の出所が見にくく、120キロ台の直球で詰まらせて打ち取るのが投球スタイルだ。「粘れて良かった」。四回以降は連打を許さず、飛球を中心にアウトを積み上げた。最後まで一人で投げ抜いた。
辻川正彦監督は「本来の投球ではなかった。制球が良くなくて、浮いた球を打たれた」と振り返る。
石戸は滋賀学園との1回戦で完封すると、東海大札幌(北海道)との2回戦と聖光学院(福島)との準々決勝では救援して、チームを勝利に導いた。今大会は全4試合に登板して計347球を投じた。
チームは創部50年の節目に春夏通じて初出場を果たした甲子園で、目標だった8強を上回る4強入りを果たした。石戸は「誇っていい。自分らしさは発揮できた」と手応えを口にした。辻川監督も「石戸の力が大きい。持ち味を出してくれた」とたたえた。【武藤佳正】