元監督の森繁和氏「中田が出るか出ないかで、守備位置が全部変わる」 昨年まで3年連続最下位の中日は今季、井上一樹新監督を迎え浮上を目指す。元中日監督で現在は解説者を務める森繁和氏は、チームの底上げを図るには「ルーキー、ベテラン、外国人が目立つ…

元監督の森繁和氏「中田が出るか出ないかで、守備位置が全部変わる」

 昨年まで3年連続最下位の中日は今季、井上一樹新監督を迎え浮上を目指す。元中日監督で現在は解説者を務める森繁和氏は、チームの底上げを図るには「ルーキー、ベテラン、外国人が目立つこと」と指摘するが、その中でもキーとなるのが「中田(翔)なんですよ」と名前を挙げる。

 今年プロ18年目を迎えるスラッガーは日本ハムで14年プレーした後、巨人を経て昨季から中日に加わった。開幕当初こそバットから快音が響いたが、5月中旬以降は怪我と不調で1軍と2軍を行ったり来たり。結局、62試合に出場し、打率.217、4本塁打、21打点にとどまった。

 通算307本塁打、1083打点と実績は十分。本調子の中田がラインナップに加われば、他チームにとって大きな脅威となる。だが、森氏が中田をキーだと考える理由は、守備位置の事情によるところが大きい。「中田が出るか出ないか、1軍にいるかいないかで、守備位置が全部変わるんですよ」と言葉を繋げる。

「中田ができるのは一塁。三塁は石川(昂弥)だけど全試合出場した経験がないし、怪我がちな選手でもある。ただ、石川がレギュラーでいける計算で福永(裕基)を二塁にしたわけだから、これは動かせない。もし石川が難しかった場合、誰が三塁か。高橋周平はファームにいるけどオープン戦には出ていない。遊撃は村松(開人)でしょうから、守備のいい土田龍空を遊撃から三塁へ行かせるのも1つの手だし、辻本(倫太郎)や田中(幹也)もいる」

オープン戦打率は1割台…森氏「監督がどういう判断をするのか」

 では、中田が一塁に定着しなかった場合は、どのようなケースが考えられるのか。

「中田の起用が難しいとなったら、一塁を(現在故障離脱中の)ボスラーとすれば外野手の選択肢が広がる。打撃のいい上林(誠知)もいるし、内外野できる板山(祐太郎)もいるので、相手先発の左右によって変えることもできるでしょう。もちろん、中田とボスラー、2人とも起用が難しい可能性もある。その時は何でもできるカリステの出番になるでしょう。中田がいるかいないかで、大きく守備位置も打順も変わるから、やはり中田がキーになると思います」

 オープン戦は全日程が終了。中田は11試合に出場し、27打数3安打2打点で打率.111と数字を残すことができなかった。中田を起用するのか否か。井上監督は開幕前にも難しい判断を迫られる可能性があると森氏は見ている。

「オープン戦が終わって開幕を迎えるまでに、判断は早めにしなければいけないのかなと思う。結果が出なかったらしょうがないでしょう。監督としては当然、結果が出ている人を使いたいし、試合で活躍を期待できる25人を選ぶわけだから。開幕メンバーに入っても代打だけの可能性もあるし、来年以降のことも考えると開幕は1軍ではないかもしれない。勝てるチームを作るために就任1年目の今年は色々なことをやりやすい。特に一塁となれば、今後2、3年任せられるような選手を使いながら育てる、という選択肢もある。オープン戦の最後、名古屋での3試合(楽天戦)が終わって、監督がどういう判断をするのか。今季最初の見物になるでしょう」

 オフには15キロほど大幅な減量に成功し、今季に懸ける覚悟を見せた中田。「もう最後だと思っている、と本人も言っていた。ただ、思うことと結果とは別。結果として見せてほしいですね」。森氏の“愛ある檄”がベテラン強打者に届くと願いたい。(佐藤直子 / Naoko Sato)