日本相撲協会は26日、エディオンアリーナ大阪で夏場所(5月11日初日・両国国技館)の番付編成会議を開き、元横綱・大鵬の孫で関脇・王鵬(25)の弟、夢道鵬(むどうほう、23)=大嶽=ら3人が新十両に昇進した。夢道鵬は大阪市内で会見し、最終目…

 日本相撲協会は26日、エディオンアリーナ大阪で夏場所(5月11日初日・両国国技館)の番付編成会議を開き、元横綱・大鵬の孫で関脇・王鵬(25)の弟、夢道鵬(むどうほう、23)=大嶽=ら3人が新十両に昇進した。夢道鵬は大阪市内で会見し、最終目標に「横綱」を掲げ、史上4例目の兄弟同時三役にも意欲を示した。他の新十両は日体大出身で宮城改め宮乃風(26)=中村=と、近大出身の三田(23)=二子山=。再十両は2場所ぶりで元幕内の大奄美(32)=追手風=。

 吉報は午前9時前に届いた。大阪市内の宿舎の片付けをしていた夢道鵬に、師匠・大嶽親方(元十両・大竜)が協会から昇進の電話が入ったことを伝えた。2019年九州場所初土俵からの夢がかない、「幼少期から関取(十両以上)になるのが夢だった。泣くほどうれしかった」と感慨深げ。春場所は西幕下3枚目で4勝3敗と微妙な情勢だった。「上がれると信じていたけど、ドキドキした」と前夜寝られなかっただけに、喜びもひとしおだった。

 高3で国体少年の部、個人と団体を制した兄・王鵬と違い、埼玉栄高時代に目立った成績はない。だから、しこ名の「夢」には横綱などではなく、関取を目指すという意味が込められていた。初土俵から所要4場所で新幕下も、新十両昇進までは約5年半。その間、王鵬の付け人も務め、技術や精神面について助言をもらった。春場所の一番相撲で負けた際には「お前の相撲それじゃないだろ」と檄を飛ばされた。壁にぶつかりながらも、少しずつ結果を出してきた。

 祖父は優勝32度、昭和の大横綱・大鵬だ。怒られたことはなく、「僕の中では優しい祖父」だという。ただ角界に入ると偉大さを知り、「雲の上の存在。祖父に顔向けできないような生き方はしたくない」と気を引き締めた。春場所前は十両昇進を墓前で誓っていた。帰京後は「これからも頑張ります」と報告するつもりだ。

 涙交じりに喜んだ弟子に、大鵬の指導を受けた師匠からは「横綱になったら一緒に泣こう。ここがスタートラインだよ」と声をかけられた。最初の夢はかなえた。「次の夢は幕内に上がること。最終的には横綱になりたい」と夢道鵬。「小さい頃から一番勝ちたい相手」とする王鵬との兄弟同時三役に向けても「自分が頑張るだけ」と闘志を燃やした。祖父や兄の背中を追いかけ、華麗なる一族の末っ子はさらなる高みを目指していく。(山田 豊)

 ◆夢道鵬 幸成(むどうほう・こうせい)

 ▽本名 納谷幸成

 ▽生まれ 2001年9月18日

 ▽出身 東京・江東区

 ▽相撲歴 5歳から始める。さいたま市立大宮西中時代に関東大会3位。埼玉栄高時代は全国総体32強が最高。大嶽部屋に入門し、19年九州場所で初土俵

 ▽好きな食べ物 焼き肉

 ▽苦手な食べ物 納豆

 ▽生まれ変わったら 動物園の動物。小さい頃から犬を飼っていたので

 ▽性格 負けず嫌い

 ▽趣味 なし。好きなテレビ番組などもなく「あった方がいいですよね」

 ▽得意 突き、押し

 ▽身長・体重 185センチ、150キロ