「選抜高校野球・準々決勝、浦和実12-4聖光学院」(26日、甲子園球場) 春の聖地に“浦実旋風”が巻き起こった。タイブレークに突入した延長十回に浦和実(埼玉)打線が大爆発。タイブレークでの1イニング最多得点を更新する7安打8得点で、201…

 「選抜高校野球・準々決勝、浦和実12-4聖光学院」(26日、甲子園球場)

 春の聖地に“浦実旋風”が巻き起こった。タイブレークに突入した延長十回に浦和実(埼玉)打線が大爆発。タイブレークでの1イニング最多得点を更新する7安打8得点で、2014年の豊川以来となる初出場での4強進出を決めた。辻川正彦監督(59)は「本当にすごいことをやってくれた」と興奮が止まらなかった。

 十回の先頭打者で揺さぶりを掛けた工藤蓮内野手(3年)が殊勲だった。ベンチからの「送れ」のサインに初球はバントでファウル、2球目はバスターでファウル。相手の内野を惑わすと、カウント1-2からスリーバントで三塁線に転がし、一塁にヘッドスライディング。内野安打で続く橋口拓真内野手(3年)の決勝打を呼び込み、「セーフになってうれしかった」と拳を握った。

 厳しい練習環境にも腐らず実力を磨いてきた。学校から自転車で30分のグラウンドを拠点とするが、近隣住人へ迷惑をかけないようにフリー打撃は禁止。バットを振れるのはネットで囲まれた狭い“鳥かご”のような打撃練習場だけ。寮はなく他の強豪と比べて環境面で劣るだけに、選手集めにも苦労してきた。

 横浜、健大高崎と並んで関東勢3校が準決勝に進出するのは1992年大会以来33年ぶり。他の2校に比べ、指揮官は「普通のチーム」と形容する。それでも頂点を諦めるつもりは毛頭ない。「選手が勝ちたいという気持ちが出たときに何か起こるかも」。初出場でのミラクルへ突き進む。