「選抜高校野球・準々決勝、智弁和歌山7-0広島商」(26日、甲子園球場) 智弁和歌山のエース・渡辺颯人投手(3年)がきょうも安定感抜群の投球を披露した。 テンポよくストライク先行の投球で打者を追い込むと、スコアボードにゼロを刻んでいく。8…

 「選抜高校野球・準々決勝、智弁和歌山7-0広島商」(26日、甲子園球場)

 智弁和歌山のエース・渡辺颯人投手(3年)がきょうも安定感抜群の投球を披露した。

 テンポよくストライク先行の投球で打者を追い込むと、スコアボードにゼロを刻んでいく。8回を投げ被安打4、2四球、無失点という完璧な内容。今大会を通しても3試合に先発して計21回を失点2、自責点1と、ほとんど非の打ちどころがなかった。

 バランス良く変化球を織り交ぜた投球がこの日も光った。持ち球には五つの球種があり、その中にはあまり聞きなじみのない「キックチェンジ」という球種があった。渡辺は「結構最近はやっている球種なんです」と言う。

 キックチェンジは名前の通り、チェンジアップから派生した変化球。日本ハム・伊藤大海など、最近ではプロ野球選手も新球として習得に挑戦したことが話題になった球だ。五本指でボールを覆うように握るチェンジアップとは違って、中指を一本立てる握りで投げる。渡辺は「スピードのある変化球で三振を取れるボールを探していた。今はこれがそのボールかな。結構、速く小さく落ちる感じ」とその軌道を説明した。

 実はセンバツ直前の2月に覚えた新球だ。中谷仁監督の勧めで習得に挑戦したという。その中谷監督はどこでキックチェンジの存在を知ったのか。そのことを問うと「恥ずかしいからやめて下さい」と照れ笑い。「SNSで見て、(渡辺に)これ投げてみてと遊びの中で」と新球はSNS由来のものだった。

 ただ、中指一本を立てるキックチェンジは従来のチェンジアップよりも習得が難しい。中谷監督は難易度の高いキックチェンジをものにした渡辺に「器用だと思います。投げるセンス、感覚のある子だからできる」と感嘆していた。