格闘技イベント「ONE」は25日、「ONE 172 武尊vsロッタン」(23日、さいたまスーパーアリーナ)の大会後にチャトリ・シットヨートンCEOがフェザー級キックボクシングがマラット・グレゴリアンの計量失敗で試合が中止となったことについ…
格闘技イベント「ONE」は25日、「ONE 172 武尊vsロッタン」(23日、さいたまスーパーアリーナ)の大会後にチャトリ・シットヨートンCEOがフェザー級キックボクシングがマラット・グレゴリアンの計量失敗で試合が中止となったことについて対戦相手のシュートボクシング世界スーパーウェルター級王者・海人を誹謗(ひぼう)中傷した発言を謝罪し撤回した。
海人とグレゴリアンの一戦は試合前日となる22日の前日計量でグレゴリアンが、制限時間以内に尿サンプルを提出できず、その後、尿サンプルを提出し、ハイドレーションテストを通過したが、計量失敗となりキャッチウェイトの交渉をしたが不成立となり、試合は中止となった。
試合中止について23日の大会後の会見で記者から見解を問われたチャトリCEOは「あらゆる選手はこれほど大きな大会で試合をしたいと思っているが恐れている場合はしないこともあります。一番簡単な道を選んだと思います。海人選手が試合をしないことを望んで中止になった。恐れを持っているから戦わない。計量失敗は本当にわずかな差なので戦おうと思えば戦えた」と計量をクリアした海人を非難する前代未聞の発言を繰り出し「海人はファイトマネーは全部もらった。本当のファイターだったら、5パウンドだったらわかる。これは300グラムだけ」と契約体重で成立するあらゆる格闘技、ファイターを冒とくした。
この発言に海人が所属するシュートボクシング協会が24日に声明で抗議文を提出したことを発表した。さらにインターネット上でチャトリCEOの発言に批判が殺到しこの日、ONEは「公式声明 海人選手に関する発言について」と題し謝罪し撤回した。
チャトリCEOのコメントは以下の通り。
「皆様と同様に、私はマラット・グリゴリアン選手と海人選手の試合を楽しみにしておりました。グリゴリアン選手は制限時間を過ぎてハイドレーションテストをクリアし、350グラムの体重オーバーとなりました。この時点で、グリゴリアン選手にはファイトマネー総額の20%が没収され、海人選手に渡るというペナルティが課されていました。体重オーバーが1ポンド(約454グラム)未満の場合、世界の主要な格闘技団体における標準的な対応は、キャッチウェイトでの試合を交渉することです。当然ながら、海人選手が試合を辞退されたことに私は残念な気持ちを抱きました。
しかしながら、ONE ChampionshipのCEOとして、このような感情を記者会見の場で表現したことは不適切でした。海人選手の勇気の欠如に関する発言につきまして、心より謝罪し、正式に撤回いたします。海人選手は日本で高く尊敬されているチャンピオンです」
さらに、ONEは団体の「医療基準について」と題し「ONE Championshipはアスリートの安全性において世界最高水準の基準を持っています。これはF1、NBA、MLB、プレミアリーグなどの世界最大のスポーツ団体と同等のレベルです。実際、ONEは医療プロセスとアスリートの健康管理に、他の99%の格闘技団体がイベント全体にかける費用よりも多くの資金を投じています。我々の医療プロセスには、以下が含まれます
·試合前の義務的な身体検査(心電図、血圧、可動域など)
·神経学的検査
·感染症血液検査(HIV、HBsAg、抗HCV、および全血球計算)
·脳MRI/CTスキャン
·眼科検査
·ランダムなパフォーマンス向上薬物検査
·アスリートの過度な脱水を防ぐための水分状態評価
ONEは常勤の医療専門家(医師や医療の専門家を含む)をスタッフとして雇用しています。また、試合に関連した怪我に対する全ての医療費(医学的検査、入院、手術、リハビリテーション、必要に応じた薬など)をアスリートのために負担しています」と公表していた。
一方でシュートボクシング協会の声明では「大会前日(22日)午前11:00~13:00に行われた公式計量で海人はハイドレーションテストおよび体重測定をクリアし、グレゴリアン選手の同結果に備えました。しかし、ルールに定められた規定時間内(11:00~13:00)にグレゴリアン選手は一度も計量会場に現れず、ハイドレーションテストのための尿サンプルの提出と体重測定を行いませんでした。
ONEの公式ルールブックには、選手が規定時間内にハイドレーションテストと公式計量を行い、ハイドレーションテストの数値超過と体重超過した場合の記載はありますが、規定時間を超過した場合の記載はなく、その後の采配について現場のONEの競技スタッフから一切の説明がなされなかった経緯がございます。
さらに試合が実施されるのか否か定かではない状態のなか、海人と同行していた協会スタッフを通さず、ONEのスタッフから直接海人とトレーナーに公開計量場所への移動指示のメールが届き、しかもその指示内容も間違ったものでした。
そういった混乱が続く中、協会スタッフが電話でONE側に問い合わせ、グレゴリアン選手が規定時間外でもハイドレーションテストをクリアした場合にキャッチウェイトでの試合交渉権利が発生することを確認しました。
しかし、公式計量の規定時間の約1時間後(14:00)に現れたグレゴリアン選手のハイドレーションテストには、規定時間を超過していたため日本の医療従事者が計量会場から退席しており、グレゴリアン選手が行ったハイドレーションテストには疑念が残るものでした。
こうした経緯もあり、最終的に海人とグレゴリアン選手のキャッチウエイトでの試合実施は合意に至りませんでした」と公表しており、今回のチャトリCEOの謝罪コメントには、こうした疑惑に答えておらず格闘家の命を預かるプロモーターとしての資質と資格になおも疑問を抱かざるを得ない状況が続いている。(福留 崇広)