世界水泳平泳ぎ代表競泳世界選手権(7月、シンガポール)の日本代表は25日、都内で合宿を公開した。男子平泳ぎで初代表の柳沢駿成(としなり、27)=スウィン高島平=が取材に応じ「目標は自己ベスト更新」と決意を語った。普段はプール関連の設備を扱…

 世界水泳平泳ぎ代表競泳世界選手権(7月、シンガポール)の日本代表は25日、都内で合宿を公開した。男子平泳ぎで初代表の柳沢駿成(としなり、27)=スウィン高島平=が取材に応じ「目標は自己ベスト更新」と決意を語った。普段はプール関連の設備を扱う「アクアプロダクト」で働く27歳。極めて異例の“サラリーマンスイマー”が世界に挑む。

 日本選手権(23日閉幕、東京アクアティクスセンター)の50メートル平泳ぎは2位で代表を決めた。学生時代は無名で、就職後には一度現役を引退したが、趣味の筋トレ、仕事後に週3回ほど市民プールに通う日々で体重は約10キロ増やし、競技力も向上。昨年11月には、世界選手権の派遣記録(27秒33)を超える27秒31をマークし、日本選手権で世界への切符を手にした。

 社業ではプールの濾(ろ)過装置の営業を担当する。合宿を行うナショナルトレーニングセンターに新入社員研修で一度訪れたことがあるという。「まさかこの(日本代表の)ウェアで来ると思っていなかった」とにこり。会社からバックアップを約束されたが、今後は代表活動で業務の引き継ぎなど忙しくなる。目指すは自己記録で「日本新(26秒94)も見えてくる。自分のレースをしたい」と柳沢。会社員が夢を与える。(大谷 翔太)

 ◆柳沢 駿成(やなぎさわ・としなり)1997年10月17日、東京・葛飾区出身、27歳。3歳から水泳を始め、桐蔭横浜大まで水泳部に在籍。アクアプロダクト就職時に現役を引退し、市民プールで泳ぎながらマスターズ水泳で競泳を再開。短水路の100メートル個人メドレーでマスターズ日本記録を保持。24年11月のジャパンオープンで50メートル平泳ぎ2位。179センチ、74キロ。