(25日、第97回選抜高校野球大会2回戦 聖光学院7―4早稲田実) 地道な積み重ねが、相手攻略の糸口となった。聖光学院は序盤に3点をリードされる展開となったが、慌てない。早稲田実の左腕エース・中村心大のボール球を見極め、三回までに49球を…

 (25日、第97回選抜高校野球大会2回戦 聖光学院7―4早稲田実)

 地道な積み重ねが、相手攻略の糸口となった。聖光学院は序盤に3点をリードされる展開となったが、慌てない。早稲田実の左腕エース・中村心大のボール球を見極め、三回までに49球を投げさせた。

 そして四回、とらえた。

 指示を徹底して実行したのが、4番・竹内啓汰。無死一塁で迎えた打席は、フルカウントから走者がスタートを切る。竹内は変化球を左翼線へはじき返す。ヒットエンドランを決めての適時二塁打に「低めを強く振り抜こうと対策した」。

 さらに、1死一、三塁の場面では揺さぶりも効いた。

 色々な攻撃が考えられる状況で、斎藤智也監督は打席の7番・石沢琉聖に「セーフティーバントにこだわれ」と伝令を送った。スクイズで三塁走者を本塁へ迎え入れることよりも、自らの出塁を第一に考えた石沢は、三塁側へ絶妙な打球を転がし、結果的にスクイズ成功。その後、9番・大嶋哲平も適時打を放ち、この回に同点とした。

 「竹内は三振をする子じゃないので、走者を走らせた。石沢はバントが苦手なので、しっかりと言葉で伝えた。引き離される前によく追いついてくれた」と斎藤監督。選手の特性をもとに動き、選手が応える攻撃で終盤の勝ち越しへとつなげた。

 初戦の常葉大菊川戦は、互いに延長12回で無失策という堅守の内容だった。そして、この試合は要所で打線が機能してのベスト8進出。「終盤に粘り強さが出ている」と、竹内はチームの進化に手応えを感じている。(福角元伸)

 ▼福島勢は東京勢に無敗 第94回(2022年)で聖光学院が二松学舎大付に勝利して以来、2戦2勝。福島勢は全国選手権大会でも東京勢(74年の第56回から東・西の2代表)に4勝無敗。春夏合わせた計6勝のうち聖光学院が5勝。