NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン3 第10節2025年3月22日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)狭山セコムラガッツ 38-…

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第10節
2025年3月22日(土)12:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ 38-17 ヤクルトレビンズ戸田

久しぶりの出場となった男たちが示した存在感。彼らのエナジーが、チームを入替戦へ導く


ともに復帰戦で上々のパフォーマンスをみせた、狭山セコムラガッツのコリー・ヒル選手(左)、神座立樹選手

狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)が、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)の反撃を振り切ってボーナスポイントを加えた勝ち点5を獲得した。

狭山RGのフォワード陣のパフォーマンスが光った形となったが、その中でも5試合ぶりの出場となったコリー・ヒルの存在は大きかった。コンディション不良のため、約1カ月半メンバーから外れていたが、「今日は自分でもビックリするくらい調子が良かった」と笑顔を見せ、「とにかく自分の役割を果たし、チームにエナジーを与えながら、ほかの選手たちにも自信を付けることを心掛けました。今日はそれがある程度できたと思います」と振り返った。言葉だけでなく、自分のプレーでほかの選手を鼓舞していくヒル。「チームメートへのデマンド(要求)を高くして、より高い意識にさせることは大切。長い経験を積んできた自分だからこそ伝えられるものもある。しつこいくらい日本人選手にはいろいろと伝えているのでイヤになるかもしれないけど、チームがより高いレベルにいくためには必要なことなので、これからも自分のスタイルを貫いていきます」と力を込めた。

久しぶりの出場で存在感を示したのは、この試合でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた神座立樹も同じだ。「後半の苦しい時間帯で、持ち前のエナジーを発揮できず得点のチャンスを逃してしまった」と反省も口にしたが、「前半はしっかりと準備してきたことを出せた。自分のトライもチェイス(・ティアティア)が、スペースを見つけてキックしてくれたおかげ。トライ後、みんなが駆け寄ってくれて、会場が盛り上がる雰囲気は僕にとって本当に格別なもの」とも話した。

メンバー外になった期間について「悔しい時間だった」と本音を漏らすも、「ドミネーター(ノンメンバーの愛称)としてやってきたことが、今日の結果に結び付いたと思います。今日で終わりではないので、残り5試合すべてでメンバーに入れるように、一貫性をもって練習に取り組んでいきたい」と、次への戦いへ意欲を見せた。

レギュラーシーズンも残り5試合。入替戦進出圏内の2位以上を確実なものにするためにも、二人の強いエナジーが、チームには欠かせない。

(松野友克)

狭山セコムラガッツ


狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、髙島理久也ゲームキャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「前半は、今回のフォーカスポイントはうまくできていたと思いますが後半に、今日だけではなく、今季は問題があります。最初(第3節)にルリーロ福岡とやった試合も、前半に40点ぐらい取ったけど、後半は13点ぐらいに抑えられた。チームのラグビーのやり方も変わるから、そういうことも分かるけど、プレーの精度は大事。今日も前半、完璧ではなかったけど、けっこううまくできていました。後半は簡単な小さいエラーが多過ぎる。リーグワンで戦うならば、容赦することなくチャンスのときはたくさん点を取らなければいけない。その部分はまだ、強さがないところ。でも、最後まで頑張ってトライを決めて勝ち点5を取れたことはとても良かったと思います」

──今日の試合も含め、ここまでの10試合を振り返ると、前半に良い流れを作っても、後半は苦しい展開となる。また、その逆となるパターンも多いように思います。前後半で極端な良し悪しが出てしまう要因はどこにあると思いますか。

「ディビジョン3には、若くて経験の少ない選手も多くいるので、いろいろな要素でテンションが高くなることもあります。良い影響、悪い影響を含めて、そういうメンタルへのプレッシャーの影響はあると思いますし、そのプレッシャーをあまりうまく使えていない部分もあります。D1でプレーしている選手はそういうプレッシャーもしっかりと吸収できる。なので、80分間同じプレーができる選手が多い。でもそれが、ウチの選手はできていない。40分はできているけど80分はできない。今日に関しても、後半のラグビーは悪くはなかった。相手がハイテンポなラグビーをやってこようとしている部分に対応できた部分もあります。でも、次のレベルに進むためには、80分間、自分たちのラグビーができるようにならないといけないです」

──1週空いて、3巡目の戦いが始まります。入替戦を狙える位置にいるだけに、重要な5試合となると思いますが、そこへ向けてチームをどうレベルアップさせていきたいですか。

「あまり前を見過ぎないように、次の1試合にしっかりとフォーカスして戦っていくことが大事だと思います」

狭山セコムラガッツ
髙島理久也ゲームキャプテン

「まずはリーグワン関係者の皆さま、設営に関わってくださったスタッフの皆さま、本当にありがとうございます。前半は私たちのペースでプレーができ、ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)さんはライバルチームなので、お互いにいつも以上に気合いが入っていたと思います。そこでのやり取り、やり合いで、こっちがファイトできて上回った前半だったと思います。後半は相手も捨て身で来るのは分かっていたので、こちらも全然受けてはいなかったですけど、やっぱり小さいミスであったり、僕の責任でもありますけど、レフリーとのコミュニケーションがうまくいかずに、ペナルティーを重ねてしまった部分がありました。でも最後にボーナスポイントが取れたのはチームとして良かったと思います」

──今日の試合も含め、ここまでの10試合を振り返ると、前半に良い流れを作っても、後半は苦しい展開となる。また、その逆となるパターンも多いように思います。前後半で極端な良し悪しが出てしまう要因はどこにあると思いますか。

「今日に関しては、(選手の)気持ちは切れていなかったと思います。ただ、その気持ちの部分では切れていなかったですけど、L戸田さんのほうが上回ってきただけかなと思います。あとは、前半は風上でしたけど、後半は風下でその風を考えたコントロールがなかなかできなかったです。そういったところが原因にもなったと思います」

──1週空いて、3巡目の戦いが始まります。入替戦を狙える位置にいるだけに、重要な5試合となると思いますが、そこへ向けてチームをどうレベルアップさせていきたいですか。

「スキルの部分など修正するところは、チームとしてもたくさんありますけど、チームとしてどれだけ戦えるかが本当に重要だと思います。一つひとつの練習もそうですし、まずは1試合1試合、ターゲットを決めて、チーム一丸となって戦うことが大事だと思います」

ヤクルトレビンズ戸田


ヤクルトレビンズ戸田の河野嵩史ヘッドコーチ(左)、多田潤平 共同キャプテン

ヤクルトレビンズ戸田
河野嵩史ヘッドコーチ

「本日は、狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の皆さま、ありがとうございました。素晴らしい会場でできたこと、大変感謝しております。試合に関しては、前半がすべてだったと思います。われわれとしても前半でもう少し競ったゲームをして、後半で勝負したいところがありました。狭山RGさんのセットアタックを減らせるように準備してきたつもりではありましたが、そこの落としどころがよくなかったというふうに反省しております」

──前半と後半では真逆の展開になりましたが、やはり前半の立ち上がりから相手フォワード陣のプレッシャーにかなり押されてしまった部分はあるかと思いますが、いかがでしょうか。

「その点は分かり切っていたところですし、そこに対して後半のようなラグビーを前半からやっていこうという話はしていましたが、そこがやり切れなかった部分です」

──今節で2巡目の戦いが終わり、次節からは3巡目の戦いに入ります。これまでの戦いを踏まえて、残り5試合をどのような形で巻き返していきたいと考えていますか。

「アタックに関しては、良くなってきている部分が見えてきているので、それを前面に押し出していきたいです。現状でトップを目指すのは難しい状況になっていますが、残り5試合、全部勝つつもりでやっていきたいと思います」

ヤクルトレビンズ戸田
多田潤平 共同キャプテン

「まずは運営に携わっていただいたみなさん、ありがとうございました。ヘッドコーチからもあったように、前半の試合展開が、最後まで影響したと思います。ただ、前半の最後のほうからトライを重ねられたように、あれを前半の頭からやらないと、やっぱりファンの方々にも申し訳ないです。次こそは改善して、いいアタックラインを見せたいと思っています」

──前半と後半では真逆の展開になりましたが、前半の立ち上がりから相手フォワード陣のプレッシャーにかなり押されてしまった部分はあるかと思いますが、いかがでしょうか。

「前半、特にグラウンドの中でスイッチを切り替えられなかったところがありました。しっかりとエリアを取るところ、アタックを継続するところで、チームの一体感を出し切れなかったというのが一つの要因かなと思います。そこの落とし込みは、練習のときからマインド、ベクトルを一つの方向にもっていけるように意識していきたいと思っています」

──今節で2巡目の戦いが終わり、次節からは3巡目の戦いに入ります。これまでの戦いを踏まえて、残り5試合をどのような形で巻き返していきたいと考えていますか。

「まずはアタックラインをしっかり見せること。あとは粘り強いディフェンスは、継続できていますけど、やっぱりターンオーバーにつなげて、ディフェンスの時間を減らすような、自分たちの形でしっかりとアタックしていけるようなラグビーを展開していかないといけないと思っています。いまは負け越している状況ですが、残り5試合、しっかりと勝っていい形で次のシーズンにつなげていけるラグビーを展開していかないといけないと思っています」