横浜・阿部葉太主将、1本塁打含む2安打4打点 第97回選抜高校野球大会は24日、大会第7日が行われ、第1試合は横浜(神奈川)が沖縄尚学(沖縄)と対戦。初回に阿部葉太外野手(3年)が高校通算6号となる先制3ランを放って主導権を握ると、沖縄尚学…

横浜・阿部葉太主将、1本塁打含む2安打4打点

 第97回選抜高校野球大会は24日、大会第7日が行われ、第1試合は横浜(神奈川)が沖縄尚学(沖縄)と対戦。初回に阿部葉太外野手(3年)が高校通算6号となる先制3ランを放って主導権を握ると、沖縄尚学の追い上げを振り切って13年ぶりにベスト8進出を決めた。

 頼れる男だ。初回無死一、三塁。阿部葉は1ボールからの内角寄り低めの直球を完璧に捉えた。「手応えがあった」という一撃は右中間最深部に着弾する先制3ラン。左打者には不利とされる、右翼から左翼へ吹く浜風をものともしない一撃だった。

 現チームでは昨秋から主に1番で出場。市和歌山(和歌山)との1回戦も「1番・中堅」で3出塁してリードオフマンの役割を果たして勝利に貢献した。ただ、これからは役割が違う。村田浩明監督から「チームが成長するには、お前が走者を還さないと駄目だ」と3番に指名され、3回1死二塁では左前適時打を放った。

 名門校で1年夏からレギュラー。2年春から先輩を押しのけて主将に命じられるほど信頼が厚い。責任感が強く「自分で決めようと思った。阿部に回せば何とかしてくれるというバッターになりたい」。好機で期待に応える2安打4打点。大舞台でも持ち味を発揮した。

昨秋は明治神宮大会制覇…「目指すのは春の日本一です」

 ドジャース・大谷翔平投手を「凄く参考にしています」という右足を地面につけたままのノーステップ打法。つけられる反動が少ない分、パワーが必要になる。「大谷さんと体の大きさは違いますけど、体をしっかり使わないと打てないのは同じ」。かかとだけ浮かせた右足への体重移動、体の捻り方を、動画で研究して自身に取り入れ、衝撃の一発につなげた。

 旧暦の和風月名「葉月」の8月生まれであることに加え、言葉を大切にしてほしいという両親の願いが込められた「葉太」という名前。「気に入っています」という主将は、猛追を受ける展開に「まだ終わってない。勝ってないぞ。しっかり最後までやろう」と言葉でもナインを鼓舞し続けた。

 春夏通じて甲子園5度の優勝を誇る強豪も、春ベスト8進出は2012年以来13年ぶり。2020年4月に就任した村田監督は3度目の甲子園で初めて2回戦に勝利した。「2回戦の壁を何としても突破したかったので良かったです」と阿部葉。ただ、それが最終目標ではない。

 昨秋は松坂大輔投手(元西武)を擁した1997年以来、27年ぶりに明治神宮大会を制覇。公式戦唯一不敗で他校のマークは当然厳しい。阿部葉は言う。「チャレンジャー精神でとにかく食らいつく。1点でも多く取って勝っていきたい。一戦必勝で、目指すのは春の日本一です」。バットで、言葉で、名門を再び頂点へと押し上げていく。(尾辻剛 / Go Otsuji)