「選抜高校野球・2回戦、広島商6-2東洋大姫路」(24日、甲子園球場) 2回戦3試合が行われ、広島商が2002年以来23年ぶりのセンバツ8強入りを果たした。二回に一挙6点を奪って主導権を握ると、先発・徳永啓人投手(3年)が7回2失点の力投…
「選抜高校野球・2回戦、広島商6-2東洋大姫路」(24日、甲子園球場)
2回戦3試合が行われ、広島商が2002年以来23年ぶりのセンバツ8強入りを果たした。二回に一挙6点を奪って主導権を握ると、先発・徳永啓人投手(3年)が7回2失点の力投。打線は4番・名越貴徳外野手(2年)が3安打と、投打の柱が躍動した。昨秋の近畿大会王者で今大会の優勝候補を下しての勝利。94年ぶり2度目のセンバツ制覇へ、さらに突き進む。
ゲームセットの瞬間、徳永は一目散にベンチを飛び出した。強敵相手につかんだ大きな白星。「高めに抜ける球はたくさんあったけど、投げ切らないといけない球は投げ切れていた」。126球の力投が歓喜を呼んだ。
まずは自らのバットで気持ちに余裕を生んだ。二回1死満塁で右前へ先制適時打。ここから味方が6点を奪い、試合を優位に進めた。「たくさん点を取ってくれたことが大きかった」と意気に感じて腕を振った。
昨秋の近畿王者・東洋大姫路打線に臆することなく、堂々の投球。最速は130キロ台中盤ながら、カーブとスライダーを織り交ぜて料理した。要所を締めて7回4安打2失点。聖地で躍動した。
2年夏まで一度もベンチ入りの経験がなかったが、昨秋から急成長を遂げた。直球の球威向上を目的に、冬場はウエートトレーニングに注力。「(上半身と下半身の)連動性で球に力を伝えられるように、取り組んできた」。厳しい練習を乗り越え、強豪校撃破を実現させた。
打の主役は2年生の4番・名越だ。二回先頭で中前打を放ち、6得点の口火を切った。三回先頭、七回無死一塁ではいずれも左前打で3安打。「先頭での打席が2度。自分が出て流れを持ってこようと思っていた」と有言実行の快音になった。
左翼守備では六回1死満塁で左前適時打を捕球すると、本塁へワンバウンドの好返球。二走を刺して追加点を防いだ。「力まずリリースだけ、指先に集中して投げた」と笑顔。この指先の感覚はグラウンド外での特技で養われているという。
3歳からピアノを習い始め「絶対音感があるので、聞いたら何でも弾けます」と胸を張る。23日の夜はホテルの許可を得て、チーム宿舎にあるピアノの前に立った。「5曲くらい弾いた」とチームメートの前で“即席演奏会”を行い、結束を高めた。「ピアノも集中力が要るので、打席に入った時も集中力がある感じ」。音楽で培われた能力は、チームに欠かせぬアクセントになっている。
23年ぶりの8強入り。荒谷忠勝監督(48)は「いい準備で次につなげていきたい」と次戦を見据え、徳永は「尊敬できる先輩が、たくさんおられる。つくっていただいた伝統に恥じない野球を」と意気込んだ。目指すは94年ぶりの頂点。古豪復活へ、一気に駆け上がる。
◆徳永 啓人(とくなが・ひろと)2007年9月7日生まれ、17歳。広島市出身。172センチ、80キロ。投手。左投げ左打ち。小学2年時に山本少年野球クラブ(軟式)で野球を始め、祇園中学時代は広島サンズでプレー。広島商では2年秋からベンチ入り。50メートル走6秒8、遠投93メートル。
◆名越 貴徳(なごし・たかのり)2008年6月26日生まれ、16歳。広島県廿日市市出身。174センチ、79キロ。外野手。右投げ右打ち。小学1年時に佐伯リトルリーグ(マイナー)で野球を始め、佐伯中時代は広島佐伯シニアでプレー。広島商では1年秋からベンチ入り。50メートル走6秒7、遠投85メートル。