大谷の存在によって大きな注目を集めたMLBの開幕戦。(C)Getty Images メジャーリーガーたちによる迫力満点のプレーに彩られた“興行”は、大盛況のうちに幕を閉じた。去る3月13日から続いたドジャースとカブスのMLBのワールドツアー…

大谷の存在によって大きな注目を集めたMLBの開幕戦。(C)Getty Images
メジャーリーガーたちによる迫力満点のプレーに彩られた“興行”は、大盛況のうちに幕を閉じた。去る3月13日から続いたドジャースとカブスのMLBのワールドツアーである。
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開幕シリーズ2戦を含めて期間はわずか6日間。決して長くはない。だが、大谷翔平、鈴木誠也、山本由伸、今永昇太、そして佐々木朗希の“凱旋”が注目された国際興行の娯楽は尽きなかった。
実際、日本国内の関心度は高かった。15日と16日に行われた巨人と阪神とのプレシーズンゲームを含めた合計6試合での観客動員数(MLB公式サイトより)は、単純計算で25万2795人の大入り。さらに19日に日本テレビ系で放送された「MLB開幕戦2025 第2戦カブス×ドジャース」(後7・00)の世帯平均視聴率は29.5%を記録したという。
こうした数字を見てもイベントとしてMLBは大きな成功を掴んだと言える。ただ、一部の識者からは話題を呼んだ開幕シリーズに異論も飛んだ。
問題を提議したのは、元スポーツキャスターのダン・パトリック氏だ。かつて米スポーツ専門局『ESPN』の実況も務めたベテランコメンタリーは、自身のポッドキャスト番組『The Dan Patrick Show』の中で「開幕戦の『輸出』を望むか? いや、私はそれを望まない」と断言。国外での開幕戦実施を疑問視した。
無論、開幕シリーズの国外遠征がMLBによる市場拡大のためのビジネス的な要素が多分に秘めたものであることは理解している。パトリック氏は「韓国や日本でドジャースが戦うのは好きではないが理解はできる。かつてはヤンキースもそうだった」と語る。
ただ、あくまで選手側に目を向けるパトリック氏は、こう続けている。
「選手たちのことを考えたらどうだろう? 彼らは春季トレーニング中だし、完全にリラックスしている。それなのに日本に連れ出され、数試合プレーして、それが成績にカウントされる。そして戻ってきて、またリラックスして準備をしてくれと言われるんだ。これはなかなか難しい」
通常なら米球界はオープン戦期間の最中にある。選手たちにとっては貴重な準備段階だ。そこでビジネスとはいえ、レギュラーシーズンの強度を強いることはいかがなものか。MLBの手法に疑問視するパトリック氏は、「たとえば、『オープン戦を日本でやる』と言ったら日本のファンは怒るだろうか?」と指摘。興味深い持論を展開している。
「私が思うに日本のファンは、ショウヘイ・オオタニや他の日本人選手が何人か来てくれればそれで十分だと思う。開幕戦をあそこで開催する必要はない。重要な試合はアメリカでやるべきだ」
ビジネスか、はたまた当事者となる選手のコンディションか。市場の発展が進んでいく中で、パトリック氏の指摘は貴重なものだと言えそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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