「オープン戦、オリックス1-1阪神」(21日、京セラドーム大阪) シーズン開幕に向けて、2番打者が状態を上げてきた。阪神・中野拓夢内野手(28)が1点を追う七回1死一、三塁で、同点の右前適時打を放った。三回には一塁への内野安打で出塁し、五…

 「オープン戦、オリックス1-1阪神」(21日、京セラドーム大阪)

 シーズン開幕に向けて、2番打者が状態を上げてきた。阪神・中野拓夢内野手(28)が1点を追う七回1死一、三塁で、同点の右前適時打を放った。三回には一塁への内野安打で出塁し、五回には右前打をマークと3安打の固め打ち。オープン戦首位打者に躍り出た。MLBの日本開幕戦を生観戦し、ドジャース、カブスの積極打法に刺激を受けた男が、3・28へ視界良好だ。

 この日、一番の大歓声を起こした。中野が1点を追う七回、1死一、三塁の好機で右前へ同点の適時打を放った。打線全体が苦しむ中、3安打の活躍で気を吐いた。

 「オープン戦で打点がなかったので、今日はチャンスだったら積極的にいこうと思っていた。その結果、いいところにいってくれたかなと思います」

 思い切りよくバットを振った。無得点の中、迎えた七回の絶好機。「チャンスの時こそ頭を整理しながら、初球の変化球がボールだったので、次は(ストライクを)とりにくると思った。1球で仕留められてよかった」。ファーストストライクを振り抜いた打球が一、二塁間を破り、オープン戦初打点をマーク。一塁を回ると何度も手をたたき、喜びをあらわにした。

 積極性は影響を受けたものだった。18日に東京ドームで行われた、ドジャースとカブスの開幕戦をバックネット裏で生観戦。「打席でストレートがきたら積極的に打つっていうスタイルは、見てて勉強になった」。大谷に限らず、どんどんスイングを仕掛けるメジャーリーガーの姿勢を参考にした。

 この日は、適時打を含む3安打全てが右方向への打球。ただ「あんまり引っ張ろうと思ってるわけではない」という。本人の意識はあくまで逆方向で「打席での感覚も悪くないし、いい形できている」とうなずいた。オフから取り組んでいるテイクバックの動きをコンパクトにした、新打撃フォームも着実に浸透。「自分の形がハマりつつある」と確かな手応えを口にした。

 昨年の同時期は、33打席連続無安打に倒れるなど、絶不調だったが「去年はひどい数字だったけど、いい意味で忘れて」と余計なことは考えていない。今年は快音を連発させ、オープン戦首位打者となる、打率・355になった。「数字というよりも打席の内容が去年と全然違う。自分のやるべきことを打席でやっている結果」と納得の表情を浮かべた。

 二塁の守備でも好守を連発し、チーム全体を引っ張った選手会長。1週間後に迫った開幕へ向けて、充実の日々を送っている。