第97回選抜高校野球大会に出場している智弁和歌山は21日、1回戦で千葉黎明と対戦。6―0で勝利し、初戦を突破した。初回にたたみかける攻撃で先取点を奪い、渡辺颯人投手は90球被安打4で完封した。次戦は25日の第1試合(午前9時)。エナジック…

 第97回選抜高校野球大会に出場している智弁和歌山は21日、1回戦で千葉黎明と対戦。6―0で勝利し、初戦を突破した。初回にたたみかける攻撃で先取点を奪い、渡辺颯人投手は90球被安打4で完封した。次戦は25日の第1試合(午前9時)。エナジックスポーツ(沖縄県)と対戦する。(寺沢尚晃)

 これまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような、鮮やかな攻撃だった。

 一回、初球。「相手のフィールディングをつこうと決めていた」。藤田一波選手(3年)が、相手の緊張を見透かすバントヒット。盗塁は失敗に終わったが、四球を選んだ奥雄大選手(3年)と安打の山下晃平選手(2年)を塁に置き、今度は荒井優聖選手(2年)が左翼線へ2点適時二塁打を放った。

 「外角の直球。絶対返すぞ、と狙っていた」と荒井選手。「チームの中で、先取点を取ろうと話し合っていた。それができて、ほっとした」

 その後、山田凜虎選手(2年)も安打で続き、3点を先取。息をつかせぬ攻撃だった。

 選手権大会で3度、選抜大会で1度の優勝を誇る強豪も、2021年の103回選手権大会の優勝以降、甲子園では初戦敗退が続いた。

 大会前に意気込みを問われた中谷仁監督は「選手も僕も、とにかく勝ちたいんです」。選手もみな、ためらいもなく「優勝」を口にした。

 ふた桁安打の打線だけではない。渡辺颯人投手(3年)も持ち前の制球力で完封し、相手にほとんど何もさせなかった。

 攻守の歯車が合い、久しぶりの甲子園の勝利。ただ、勝ちをかみしめるつもりはない。

 「これだけで終わらない。あくまで目標は優勝。次も自分のやるべきことをやって、一つ一つ勝ち上がっていきたい」。荒井選手は気を引き締める。

 「強い智弁和歌山」が、戻ってきた。