(21日、第97回選抜高校野球大会1回戦 広島商10―2横浜清陵) 「人前に出て話すのは苦手なので、プレーで引っ張る」。その言葉通り、試合の流れを一気に広島商に引き寄せた。 エース・大宗和響投手(3年)が横浜清陵(神奈川)打線を三者凡退に抑…

(21日、第97回選抜高校野球大会1回戦 広島商10―2横浜清陵)

 「人前に出て話すのは苦手なので、プレーで引っ張る」。その言葉通り、試合の流れを一気に広島商に引き寄せた。

 エース・大宗和響投手(3年)が横浜清陵(神奈川)打線を三者凡退に抑え、幸先よく迎えた一回裏。「とにかく自分が塁に出てチーム全体をいい雰囲気にしよう」と先頭打者の西村銀士主将(3年)はバットを構えた。ファウルで粘った後、狙っていた直球を振り切ると、詰まった打球は中前に。その後、相手の悪送球の間に先制の本塁を踏んだ。

 昨夏の広島大会終了後、荒谷忠勝監督と前主将に推され、主将に選ばれた。1年の夏から試合に出場。夏の広島大会決勝で広陵に2年連続で敗れ、甲子園を逃した悔しさを一番知っている。「決勝で負けたら初戦敗退と同じ」とチームに発破をかけてきた。

 マネジャーの加藤颯太記録員(3年)は「話すのがあまり得意でない主将だったが、経験を重ねて説得力が増した」と評価する。この試合、西村主将はベンチでも積極的に声を出し続けた。

 それに応えるようにチームは、三回にも1死満塁から9番・中本拓志選手(2年)の適時打などで2点を追加すると、四回には相手中堅手の失策で走者3人が一気に生還。守っては失策ゼロで、試合を終わらせた。

 ようやく立てた夢の甲子園での1勝。「打席に立つと、観客が小さく見えた。すごく大きい球場なんだと実感した」と西村主将。次は優勝候補に挙げられる東洋大姫路(兵庫)戦。「バントのミスや投手の四球の多さなど課題をつぶして臨みたい」と気を引き締めた。(遠藤花)