選抜高校野球大会で、創部3年目にして春夏通じて初めて甲子園に出場するエナジックスポーツ(沖縄)の宮城飛斗(ひっと)選手(3年)は、野球の「ヒット」が名前の由来だ。特技は本人いわく「バントなどの小技」。昨秋の公式戦では5打席に立ち、全…

選抜高校野球大会で、創部3年目にして春夏通じて初めて甲子園に出場するエナジックスポーツ(沖縄)の宮城飛斗(ひっと)選手(3年)は、野球の「ヒット」が名前の由来だ。特技は本人いわく「バントなどの小技」。昨秋の公式戦では5打席に立ち、全て犠打を決めた。
父の卓さんは沖縄水産の二塁手として活躍し、1996年の第68回大会のセンバツに出場。高校日本代表に選ばれ、大学や社会人でも野球を続けたという。名前の由来は息子に「野球をしてほしい」との思いからだった。
宮城選手の自宅には父の沖縄水産や高校日本代表時代のユニホームが飾られている。「かっこいいな、とずっと思っていた。野球以外をやることはあまり考えなかった」。小学2年から本格的に野球を始め、父とキャッチボールをして育った。
一方でその名前とは裏腹に、バントは「小学校時代からしょっちゅうやっていた」と話す。今は控えの外野手として、試合終盤に代打で出場し、バントを決めることが多い。「代打の時、監督から『ここは頼む』という雰囲気を感じている。バントではチームからも信頼があるんだと思う」と胸を張る。
自身にとっても、家族にとっても悲願の甲子園出場。待ちわびた舞台で「ヒット(安打)」は打ちたくないのか。
宮城選手は「打ちたい思いはありますけど……」とはにかみつつ、「与えられた仕事をしっかりやりたい気持ちが強い」という。アルプススタンドで応援する父は「バントヒットもある。元気よく甲子園を走り回ってほしい」と期待を寄せる。
「フォア・ザ・チーム」に徹する「ひっと」選手の美技が、甲子園を沸かせるかもしれない。【吉川雄飛】