いくつになっても悩まされる「大人ニキビ」。ニキビを繰り返してしまう場合は、普段のスキンケアや生活習慣を一度見直してみるといいかもしれません。大人ニキビの原因から、正しいスキンケア方法、悪化させる無意識のNG行動まで、皮膚科医・本間有貴先生に…
いくつになっても悩まされる「大人ニキビ」。ニキビを繰り返してしまう場合は、普段のスキンケアや生活習慣を一度見直してみるといいかもしれません。
大人ニキビの原因から、正しいスキンケア方法、悪化させる無意識のNG行動まで、皮膚科医・本間有貴先生に聞きました。
無意識にニキビを悪化させている「NG行動」
ニキビを悪化させる可能性があるので、「脂っこい物を食べる」「顔をよく触る」「タオルや衣類を洗濯しない」といった行動に注意してください。
NG行動1 脂っこい物を食べる「ファストフード」「スナック菓子」などを食べることが多い人は控えましょう。これらは古い油を使っていることが多く、ニキビの原因となる酸化皮脂を増やします。
NG行動2 顔をよく触る顔を擦ると、肌が刺激され、ニキビが悪化します。「ニキビ部分にメイクをする」「頬杖をつく」などの行動も刺激となるので控えましょう。
どうしてもメイクをしたい場合は、用事が済んだらすぐに化粧を落とす・厚塗りしないなどを意識しましょう。
NG行動3 タオルや衣類を洗濯しない汚れたタオル・衣類・枕カバーは、ニキビを刺激し、悪化させます。1度使用したものは洗濯し、常に清潔な状態を保ちましょう。
大人ニキビがなかなか治らない3つの原因
本間先生:大人ニキビは「ストレスや悩みが多い」「十分な睡眠が取れていない」「仕事が忙しくて休めていない」という方が多いです。
原因の多くはストレスで、社会人になって間もない人・仕事が忙しくなる30代前半の人に、大人ニキビに悩む人が多い傾向があります。
何をしてもニキビが治らないという場合、「スキンケア方法が間違っている」「ホルモンバランスが乱れている」「便秘」などのことが原因として考えられます。
原因1 スキンケア方法が間違っている・化粧水だけでスキンケアをしている
化粧水だけのスキンケアの場合、水分がすぐに蒸散して、肌が乾燥しやすくなります。乾燥すると皮脂が過剰分泌され、ニキビの原因になります。
・油分が多いアイテムを使用している
肌に油分をつけすぎると、ニキビの原因であるアクネ菌のエサとなり、ニキビが悪化し、治りにくくなります。
・刺激になる方法でケアをしている
手やタオルで肌をゴシゴシ擦るような洗い方は、肌に刺激が加わってしまいます。 このような摩擦による肌への刺激も、ニキビの悪化につながります。
ホルモンバランスが崩れると、皮脂が過剰に出て、ニキビの原因になると考えられます。
生理前は「プロゲステロン」という女性ホルモンが増えます。これによって、皮脂分泌が増え、ニキビや肌荒れを起こす女性が多くなります。
女性ホルモンが乱れる原因は、生理以外にもさまざまあります。
・過度の疲労やストレス
・睡眠不足
・生理前&生理中
・妊娠中
・生理不順 など
便秘になると、腸内に有毒なガスが溜まります。ガスは血中に吸収されて体を巡り、肌にも悪影響を及ぼし、ニキビを作ります。
▼便秘になりやすい人の特徴
・運動不足
・不規則な生活
・ストレスがある
・食物繊維の摂取不足
・睡眠不足 など
ニキビは普通、どのくらいで治るもの?
本間先生:軽度のニキビであれば、1ヶ月程度で良くなることが多いです。「生活習慣が乱れている」「スキンケア方法が間違っている」という場合、治るのに数ヶ月以上かかることもあります。
ニキビ跡を「自力で」治す方法ってあるの?美容家が語る“本当のトコロ”
ニキビが治らないときのスキンケアのやり方
本間先生:何をしてもニキビが治らない時は、スキンケア方法を見直しましょう。「クレンジング」「洗顔」「保湿」のポイントをそれぞれ解説します。
ステップ1 クレンジングは「素早く」1 クレンジング剤をたっぷり手に取る
2 手のひらの上でクレンジング剤を温めて、肌馴染みを良くしておく
3 力を入れずにクレンジング剤を顔に伸ばす
4 30秒程度馴染ませたら、ぬるま湯(38度程度)で洗い流す
クレンジングに時間をかけると、クレンジング剤の刺激によって乾燥・ニキビなどの原因になるので素早く行いましょう。
また、次のようなクレンジング剤は、肌への刺激が少ないと考えらるので、おすすめです。
・香料、防腐剤、合成界面活性剤、アルコールなどが無配合
・ジェルタイプやリキッドタイプ
1 ぬるま湯(38度程度)で顔を濡らす
2 よく泡立てた洗顔料を使い、泡で肌を押すようにして洗う
3 すすぎ残しがないように、ぬるま湯で丁寧に洗い流す
熱いお湯で洗うと必要な皮脂まで流れてしまい、乾燥や皮脂の分泌過剰を招くので、ぬるま湯で行いましょう。泡立てるのが苦手な人は、泡で出てくるタイプの洗顔料を使用すると良いでしょう。
また、洗顔料は、さっぱりとした洗い上がりが特徴の酵素洗顔がおすすめです。酵素洗顔は、肌に強い負担をかけずに古い角質を洗い流してくれます。
ステップ3 保湿は「水分と油分で補う」1 規定量の化粧水を手に取る
2 顔に優しく圧をかけて、馴染ませるように保湿する
3 乳液も同じ手順で行う
ベタつきを気にして化粧水のみで済ませると、水分がすぐに蒸散してしまいます。水分と油分を使って、バランスよく肌を補いましょう。
また、保湿アイテムは、「グリチルリチン酸ジカリウム」「ビタミンC誘導体」「サリチル酸」など、ニキビにアプローチできる成分が配合されているものがおすすめです。その中でも、ニキビになりにくいことが確認されている「ノンコメドジェニックテスト済み*」のものがおすすめです。
*全ての人にニキビが発生しないということではありません。
ニキビができやすい人が意識したい生活習慣とは
本間先生:ニキビを防ぐためには、生活習慣の改善も大切です。次のポイントを意識して実践するようにしましょう!
ポイント1 十分な睡眠時間を確保する適切な睡眠時間は個人差がありますが、1日6~7時間程度は寝ましょう。十分に睡眠を取ることで、ターンオーバーの促進につながり、健やかな肌を目指せるでしょう。
十分な睡眠時間が確保できない場合は、「眠りの質」を意識しましょう。
・季節や気温に合わせた就寝環境を整える
・寝る2時間前からスマホやテレビを見ないようにする
上記を行うと、良質な睡眠が取れて、短い睡眠時間でもターンオーバーがサポートされるでしょう。
ポイント2 毎日運動をする軽く汗ばむ程度の運動を毎日することで、体全体の代謝が良くなります。その結果、肌の生まれ変わりがサポートされ、ニキビが良くなる可能性があります。
きつい運動は、活性酸素を過剰に排出し、ニキビ悪化の原因になります。ご自分の体力に合ったゆっくりできる運動を選びましょう。
運動は、「ジョギング」「ヨガ」「ウォーキング」などがおすすめです。
ポイント3 栄養バランスの良い食事を摂る1日3食バランスの良い食事を摂った上で、「ビタミンB群」「ビタミンC」などを積極的に摂取しましょう。
ビタミンB群には、皮脂分泌をコントロールする働きがあり、ビタミンCには、皮脂の酸化を抑える働きがあります。
▼ビタミンB群、ビタミンCが豊富な食材例
●ビタミンB群…きのこ類、豚肉、レバー、緑黄色野菜など
●ビタミンC…柑橘類、いちご、緑黄色野菜など
吹き出物(ニキビ)の場所で「体の不調」がわかる?
ニキビを防ぐには「髪を上げる」のもおすすめ
本間先生:髪の毛が顔に当たることで、刺激が起き、ニキビが悪化することがあります。ニキビが気になる場合は、髪の毛をアップにして、ゴムでまとめると良いでしょう。
▼参考
日本皮膚科学会 ケミカルピーリングとは
鼻の白いニュルニュル(角栓)、出した後どうすればいい?皮膚科医に聞いた
監修・執筆者プロフィール
よこはま港南台形成クリニック本間 有貴
札幌医科大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
関東労災病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜市立大学附属病院 形成外科
平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務
令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務
<Edit:編集部>
※本記事は、mocobe(モコビ)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。