◆大相撲 ▽春場所12日目(20日、エディオンアリーナ大阪) 大関・大の里が首位で並ぶ西前頭6枚目・尊富士との2敗対決を制した。立ち合いで押し込まれたが、昨年春場所で敗れた1学年上のライバルを土俵際ではたき込んだ。同じく2敗の東前頭4枚目・…
◆大相撲 ▽春場所12日目(20日、エディオンアリーナ大阪)
大関・大の里が首位で並ぶ西前頭6枚目・尊富士との2敗対決を制した。立ち合いで押し込まれたが、昨年春場所で敗れた1学年上のライバルを土俵際ではたき込んだ。同じく2敗の東前頭4枚目・高安も関脇・王鵬を押し出して2人で首位を並走。新入幕の安青錦(あおにしき)、40歳の玉鷲、尊富士が3敗で追う。十両は新十両・草野が12連勝で初優勝。12日目での十両優勝は48年ぶり。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では、3人目の快挙となった。
巨体が舞った。大の里は立ち合いで低く、鋭く突っ込んできた尊富士を止められなかった。呼び込んでたまらず下がったが、「後半戦なので、気持ちで取ろうと思っていた」。なりふり構わずとっさに体を右に開くと、右足を残しながらはたいて、最後はジャンプ。尊富士が前から倒れた。土俵下で軍配を確認すると、大きく息を吐いた。
2敗で並ぶ首位対決に薄氷の勝利。大の里が「内容としては良くない」と反省し、幕内後半戦の九重審判長(元大関・千代大海)は「大関なんだから大事な一番で力の差を見せてほしかった」と厳しく指摘。ただ、土俵際での身のこなしは持ち味の一つ。優勝を占う一番で結果を出した。
因縁があった。昨年春場所は共に優勝争いし、10日目に1差で激突した。ざんばら髪の大の里とちょんまげ頭の尊富士。新星対決は注目を集めたが一気に押し込まれて完敗。翌夏場所の初V時に「春場所は、あと一歩で優勝に届かなかった悔しさがあった」と原動力に変えた黒星だった。この日、海洋高、日体大時代からしのぎを削り、過去1勝1敗だった尊富士については「場所が終わってから話す」。大の里は大の阪神ファンで尊富士は巨人ファン。宿敵との“シン伝統の一戦”を制し、喜びに浸った。
首位は高安と2人となった。3場所ぶり3度目の優勝へ向け、「残り3日、一日一番集中していく」と表情は変えず。終盤戦は大関・琴桜ら上位との対戦を残す。夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)での綱取りにつなげるためには一つも落とせない。「明日からが勝負」。阪神のお膝元で、地方開催場所初の賜杯を抱く。(山田 豊)