◆大相撲 ▽春場所12日目(20日・エディオンアリーナ大阪) 大関・大の里が首位で並ぶ西前頭6枚目・尊富士との2敗対決を制した。立ち合いで押し込まれたが、昨年春場所で敗れた1学年上のライバルを土俵際ではたき込んだ。同じく2敗の東前頭4枚目・…
◆大相撲 ▽春場所12日目(20日・エディオンアリーナ大阪)
大関・大の里が首位で並ぶ西前頭6枚目・尊富士との2敗対決を制した。立ち合いで押し込まれたが、昨年春場所で敗れた1学年上のライバルを土俵際ではたき込んだ。同じく2敗の東前頭4枚目・高安も関脇・王鵬を押し出して2人で首位を並走。新入幕の安青錦(あおにしき)、40歳の玉鷲、尊富士が3敗で追う。
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力士にとって「勝負に勝って相撲に負けた」が一番、悲しい言葉だろう。尊富士は大の里の引き足に半歩だけ足りなかった。
わずかな差を生んだのは大の里が左からのかち上げで尊富士の推進力を一瞬だけ止めたことが原因している。もし立ち合いに負けて、一気に走られていたら違う景色が展開していたはず。相撲内容は悲しいかな尊富士が90%は勝っていた。このコラムで苦し紛れの引き技は墓穴を掘ると書いた。大事な一番で大の里は“毒まんじゅう”を出したが、立ち合いの当たりが10%の解毒剤になったといえる。
2敗が2人で3敗が3人。個性豊かな力士がV戦線に残っているが、なぜか安青錦が気になって仕方ない。13日目は大栄翔との対戦が組まれたが、大の里と当たった場合、頭を低くした攻めは厄介だと思う。残り3日。10%の幸運はもうないと思った方がいい。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)