「大相撲春場所・12日目」(20日、エディオンアリーナ大阪) 十両は草野(23)=伊勢ケ浜=が12連勝で制し、新十両優勝を果たした。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では歴代1位に並ぶスピード優勝となった。新十両優勝は昨年初場所…

 「大相撲春場所・12日目」(20日、エディオンアリーナ大阪)

 十両は草野(23)=伊勢ケ浜=が12連勝で制し、新十両優勝を果たした。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では歴代1位に並ぶスピード優勝となった。新十両優勝は昨年初場所の尊富士以来。3敗で追う3人がいずれも敗れた後、草野が3敗の狼雅を下手投げで下して優勝を決めた。幕内は大関大の里が尊富士との2敗対決を制し、関脇王鵬を押し出した高安とトップを並走。3敗で尊富士、玉鷲、安青錦が追う。

 土俵際だった。立ち合いで失敗し狼雅に押し込まれるも、右の下手を命綱に強引な投げを打った。土俵下にもつれながら大逆転。劇的な白星で快記録を達成し、大歓声を一身に浴びた。

 取組前に志摩ノ海、日翔志、英乃海が敗れ、同じ3敗の狼雅を倒せば優勝の状況。「勝てば、と頭にあった。今場所一番緊張した。親方、周りのおかげ。ちょっとできすぎです」と笑った。

 兄弟子の尊富士らが保持していた新十両の初日からの連勝記録9を更新し、記録をさらに伸ばした。12日目の十両優勝は、15日制では1961年九州場所の内田(後の大関豊山)、1977年春場所の琴乃富士に並ぶスピード記録だ。

 日大で学生横綱に輝き、幕下最下位格付け出しでデビューも、新十両に5場所を要した。やや物足りない歩みだったが、一気に大躍進。「幕下では早く上がりたい気持ちが強すぎた。15日間取る方が同じペースでできる」と余裕ができた。

 尊富士ら幕内6人がひしめく部屋。「稽古場の方が緊張する」という環境で強さを育んだ。残り3日。栃ノ心以来11年ぶり6人目の全勝優勝を果たせば、この日支度部屋で初めて直接祝福された尊富士に続き、十両1場所での新入幕が見えてくる。照ノ富士親方(元横綱)からは「おめでとう。でも気を抜くな。思い切りやれ」とゲキを飛ばされた。さらなる記録へ「疲れはない」と言い切った。

 ◆草野 本名・草野直哉(くさの・なおや) 2001年6月25日、熊本県宇土市出身の23歳。5歳から相撲を始め、全国中学生相撲選手権で優勝。文徳高を経て日大4年で学生横綱に輝き、24年夏場所で幕下最下位格付け出しで初土俵。25年春場所で新十両。身長183センチ、体重146キロ。家族は父(元競輪選手の草野信一さん=A級、2009年引退)、母、兄。