レスリング女子の強豪校・至学館大で、吉田沙保里ら多くの五輪金メダリストを指導、育成した栄和人氏(64)が20日、3月末で同大監督を退任することを明らかにした。実質的に2001年から約25年、同大で指導。昨年6月に一線から退くことを考え、節…
レスリング女子の強豪校・至学館大で、吉田沙保里ら多くの五輪金メダリストを指導、育成した栄和人氏(64)が20日、3月末で同大監督を退任することを明らかにした。実質的に2001年から約25年、同大で指導。昨年6月に一線から退くことを考え、節目の3月末での退任を決めた。スポーツ報知の取材に栄氏は「年齢的にもしんどくなったし、若い指導者に任せて、ここは一線を退いた方がいいと判断しました。もう僕は十分やり切ったと思います」と語った。2018年4月に五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)へのパワハラが認定され、日本レスリング協会の強化本部長を辞任。同年に至学館大の監督も解任されたが、19年に監督に復帰していた。4月以降は同大でレスリングを教える非常勤講師を務める予定で、大学生や社会人が参加する練習をサポートする立場に回る。
2004年アテネ大会から五輪の正式種目に追加された女子で、代表コーチ、強化本部長を務めた。日本女子は昨夏のパリ五輪までの6大会で通算19個の金メダルを獲得し、銀と銅を含むメダル獲得総数では26個と量産。当時栄氏が指導していた後の五輪4連覇・伊調も含め、吉田沙保里、登坂絵莉、土性沙羅、川井梨紗子(現姓・金城)、川井友香子、向田真優(現姓・志土地)ら直接指導した選手が獲得した金メダル総数は延べ14個を数え、銀と銅を含む教え子たちのメダル獲得総数では19個と、世界有数のレスリング大国の礎を築いた。
五輪のマットでは、吉田と栄氏の金メダル獲得直後の掛け合いパフォーマンスも有名になった。吉田が栄氏を反復してぶん投げる高速一本背負い、日の丸をなびかせた肩車ウィニングランも恒例となった。
今月15日には至学館大のレスリング場で多くの教え子たちがサプライズの謝恩会を実施。登坂さん、土性さん、金城さんら五輪金メダリストもかけつけ、ねぎらわれた。所用で参加できなかった吉田さんからも「もう十分頑張ったよね。お疲れ様でした」と電話で連絡を受けた。栄氏は「厳しく指導することもあったけど、こうやって教え子たちに送り出せてもらえて僕は幸せ者です。選手たちには感謝しかない」と語った。