◆大相撲 ▽春場所11日目(19日・エディオンアリーナ大阪) 西前頭6枚目・尊富士が同14枚目の美ノ海との2敗対決を制した。ただ一人1敗だった東同4枚目・高安が敗れて2敗に後退し、首位は大関・大の里の3人に。尊富士は12日目は大の里との2敗…
◆大相撲 ▽春場所11日目(19日・エディオンアリーナ大阪)
西前頭6枚目・尊富士が同14枚目の美ノ海との2敗対決を制した。ただ一人1敗だった東同4枚目・高安が敗れて2敗に後退し、首位は大関・大の里の3人に。尊富士は12日目は大の里との2敗対決に挑み、110年ぶりに新入幕優勝した昨年春場所の再現を狙う。2敗の3人を関脇・大栄翔、玉鷲と美ノ海の平幕、新入幕の安青錦の4人が1差で追う。十両では草野が無傷の11連勝とし、新十両の初日からの連勝記録で1929年1月場所の武蔵山(のちの横綱)に並んだ。
ついにエンジン全開だ。立ち合い。尊富士は正面から当たると、美ノ海をはじき飛ばす。さらに足を止めずに突き出した。わずか2秒7での7連勝に「良かった。いつもより集中していた」。鳥取城北高、日大の先輩との2敗対決を制した。
1敗の高安が敗れ、大の里らとともに今場所初めて首位に立った。八角理事長(元横綱・北勝海)は「優勝は3敗になるかもしれない。尊富士が突き抜ければ、そのままいきそうな気がする」と昨年春場所の再現を描いた。
まげが結えず、ちょんまげ頭だった昨年の春場所で110年ぶりの新入幕力士として賜杯を抱いた。「優勝して1年後の大阪で何もなしで終わりたくない」と尊富士。春場所は相性も良いそうで「俺、春生まれ(4月9日)だから」。ここ数日は「寒くなったり暑くなったりすると体調管理が難しい。相撲に影響が出る」と厚着するなどして調整。18日夜も米大リーグ、ドジャースの大谷翔平らが登場した開幕戦のテレビ中継には目もくれず、午後10時ごろに布団に入った。
取組前には弟弟子の草野が昭和以降では新十両タイ記録となる初日から11連勝。「誰もできなかった15戦全勝を目指している」と大きな刺激を受けた。9日目の取組前には「今日勝ったら(俺に)並ぶじゃん」と草野に声をかけ、2人で幕内と十両の優勝も描いた。
貪欲な姿勢は腫れて黒ずんだ左目の周りに表れている。5日目に対戦した宇良の頭突きで負傷。見た目にも痛々しいが、「普通に見えているんで余裕」と気にもしない。12日目は、過去1勝1敗の大関・大の里と対決する。「結果は後からついてくる。しっかり勝てるように、気持ちをつくり直したい」と尊富士。春場所連覇へ、一気に突き進む。(山田 豊)
◆尊富士の24年春場所 新入幕で挑み初日から11連勝。12日目の豊昇龍戦、14日目の朝乃山戦に敗れ、12勝2敗で臨んだ千秋楽で豪ノ山に勝ち、新入幕としては1914年5月場所の両国(元関脇)以来、110年ぶりとなる初賜杯を抱いた。