「選抜高校野球・1回戦、横浜4-2市和歌山」(19日、甲子園球場) 1回戦3試合が行われ、昨秋の明治神宮大会を制した横浜(神奈川)が市和歌山を4-2で破った。2年生右腕・織田翔希投手が、98年夏の甲子園でOBの松坂大輔氏(44)が記録した…
「選抜高校野球・1回戦、横浜4-2市和歌山」(19日、甲子園球場)
1回戦3試合が行われ、昨秋の明治神宮大会を制した横浜(神奈川)が市和歌山を4-2で破った。2年生右腕・織田翔希投手が、98年夏の甲子園でOBの松坂大輔氏(44)が記録した151キロを超える自己最速152キロをマーク。衝撃の聖地デビューを果たした。敦賀気比(福井)は初出場の滋賀短大付を15-0と圧倒。沖縄尚学は青森山田に6-3で勝利した。
“怪物誕生”を予感させる投球に、聖地がにわかにざわめいた。名前のごとく羽ばたくような躍動感あるフォームから、放たれる伸びのある直球。ただ、勝利後も織田が表情を変えることはなかった。「監督から『よく投げた』と言っていただいたんですけど、自分は納得できなかった」。鮮烈な聖地デビューにも、課題を重く受け止めた。
「入りが大事と言われている中で準備してきて初回、二回、三回と良かったんですけど、ブレーキがかかった。自分の悪いところが出たなと」
立ち上がりから全開だった。初回、初球から149キロを投じると、4球目には自己最速を1キロ更新する152キロをマーク。偉大なOBである松坂氏を超える記録に、場内から拍手が起こった。それでも「ベンチに帰って言われました。球速は意識していないので」と泰然。それよりも失点した場面を悔やんだ。
後半は球速が落ち込み、四回には連打からの振り逃げ捕逸、五回には適時打で失点。5回2失点でマウンドを降りた。「全国の舞台で、ランナーが出て、松坂さんと違ってメンタルが弱いなと」。とはいえ、緩い球も駆使した完成度の高い投球は、明るい未来を想像させるには十分だった。
村田監督からは「第2章」という位置づけで大舞台の先発を託された。「自分にとって大きな経験。初の甲子園は悔しい結果でマウンドを降りたので、これをどう改善するか」。春の聖地で、また一つ成長を遂げる。
◆織田 翔希(おだ・しょうき)2008年6月3日生まれ、16歳。福岡県北九州市出身。185センチ、76キロ。右投げ右打ち。足立小1年から足立クラブで野球を始め、足立中では軟式野球部に所属。横浜では1年春からベンチ入り。50メートル走6秒7、遠投100メートル。憧れの投手は松坂大輔。