◆大相撲 ▽春場所10日目(18日、エディオンアリーナ大阪) 東前頭4枚目・高安が、大関・大の里との1敗対決を寄り切りで制し、単独トップに立った。終盤戦を前に、1横綱2大関を破った35歳の元大関が悲願の初賜杯へ一歩前進した。********…
◆大相撲 ▽春場所10日目(18日、エディオンアリーナ大阪)
東前頭4枚目・高安が、大関・大の里との1敗対決を寄り切りで制し、単独トップに立った。終盤戦を前に、1横綱2大関を破った35歳の元大関が悲願の初賜杯へ一歩前進した。
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高安の頭からの立ち合いに涙が出そうになった。35歳の大ベテランが見せた気迫。ひたむきに白星を渇望する姿にNHKの放送席で震えが止まらなかった。
大の里の右のかち上げに対し、低く当たった高安は後退しながらも体を丸くして下から攻めた。低い体勢で左が入ったため、大の里は右上手を肩越しで取るしかなかった。肩越しの上手は相手を引きつけることができない。あの状況では右から振り回すしかない。しっかりと足を送った高安に寄り切られた。
この白星が13日目か14日目だったら90%の確率で賜杯は高安のものだろう。あと5日は、されど5日。これまで何度、高安の終盤での悔し涙を見たことか。歴史が繰り返されるのは大相撲の常。腰の時限爆弾もいつ爆発するかわからない。今後は尊富士や美ノ海といったくせ者との対戦も予想される。越えなくてはいけないハードルは多すぎる。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)