「カブス1-4ドジャース」(18日、東京ドーム) 感情を爆発させた。5回1失点と役割を果たしたドジャース・山本由伸投手は、大きく雄叫びを上げた。「気持ちのこもったピッチングができていた。最後まで全力を出し切れて良かった」。気迫の投球が、野…

 「カブス1-4ドジャース」(18日、東京ドーム)

 感情を爆発させた。5回1失点と役割を果たしたドジャース・山本由伸投手は、大きく雄叫びを上げた。「気持ちのこもったピッチングができていた。最後まで全力を出し切れて良かった」。気迫の投球が、野茂英雄、黒田博樹、田中将大に続く、日本人投手4人目のMLB開幕戦勝利投手の快挙につながった。

 試合開始早々にアクシデントに見舞われた。1番・ハップへの初球を投げる前にピッチクロック違反と判定された。捕手との間で球種を伝達するピッチコムに不具合が発生。球審に訴えたが認められなかった。スミス捕手が機器を交換。1ボールから試合再開となった。

 ハップにフルカウントから四球を与える立ち上がり。「切り替えて向かった」という2番・鈴木はバットをへし折って遊直。後続も断った。二回にアマヤの右中間二塁打で先制点を献上。三回は無死から内野安打の走者を許したが、宝刀スプリットを連投して切り抜けた。「スプリットが良く、配球の中でも多くなった。自信を持って投げていけた」と振り返った。

 東京での開幕戦。しかも日頃連絡を取り合う今永との投げ合い。「日本人同士が先発して、特別な試合になると思うので、自分の持ってる力以上を出せるくらい頑張りたい」と意気込んでいた。降板後は「特別な気持ちだった」と改めて心境を明かした。

 大役を終えた五回のベンチ。大谷からハイタッチを求められて手を重ね合わせた。さらに肩を揉まれて声を掛けられた時には、試合中とは対照的な温和な表情を見せていた。「『よかったな』と言っていただきました」とはにかんだ。

 ヒーローインタビューでは4万2365人のファンに「皆さん、お久しぶりです」とあいさつ。「皆さんの声援の中で投げられて幸せでしたし、力になりました。あしたもう1試合応援していただいて、ロサンゼルスでお待ちしています」とメッセージを送った。

 昨季はプレーオフに登板、ワールドシリーズ制覇に貢献した。「あの1カ月の経験はすごく自信につながっています」。濃縮された厳しい戦いを経て、成長を実感。開幕戦でその姿を披露した。そして、その舞台へもう一度。「去年最高の経験をしたので、今年も全員でワールドチャンピオンを目指してやっていきたいと思います」。長い道のり。その第一歩を記した。